1の重に ページ13
金糸雀side
トン、トン、と階段を軽い足取りで降りていく。
あれから、折り鶴越しに手入れ用の霊力を流した時の感覚を頼りに、鶴に込める霊力量を調整したりして、大分間接的な手入れがうまくなった気がする。
と言っても、パッと鏡を開けて鶴を飛ばして侵入させて蓋を閉めて後は自室に退散、というのが最近の流れだから、どんな反応をされているのかは分からないが。
分からないし分かりたくもないが、でも、もしも迷惑がっていたら大変だ、ということにやっと思い至ったのは粟田口部屋に初侵入してから二週間経った今日の今だ。
それまで浮かれていた気持ちが即急降下し、足取りが重くなる。
今日はじいちゃんが手紙に書いていた”霊力検査の日”だったっていうのに。
ああ、勿論霊力検査だなんて大々的に公表されているわけではなく、身体検査という隠れ蓑を纏っている。
が、じいちゃんが霊力検査だと言っているのだから間違いはない。
何を頑張るのかは分からないけれど頑張ったぞ!!
きっと審神者になれる!!喋れる気がしないけれど!
久々に胸が熱くなり、殴るようにチャイムを鳴らし、心なし勢いよく門を開ける。
だが、家の中からは誰も出てこない。
寝てるのかな?と思いながらさす、鍵。
すんなり抵抗なく回る鍵穴。
塾帰りの午後10時。
点いたままの家の明かり。
生活音のない我が家。
扉が開く。
鍵は開けたまま、靴を脱ぐ。
一直線にじいちゃんの部屋に行く。
汚れた、所々が黒い襖に手をかける。
横に開く。
つっかえるものは何もない。
強いて言うなら、
中にいた見知らぬ女が俺の腹に刀を突き立てたことくらいだろうか?
「貴方、私の本丸に来たわね?」
ゴプ、と血の塊が口から吐き出される。
ガクン、と落ちた頭を見て肯定と受け取ったのか、女は刀を俺からは引き抜き、鏡へと向かう。
「ああ、安心してちょうだい。
貴方のご両親は眠っているだけよ」
何を言うでもなく、女を見つめていた俺がそんなことを考えているとでも思ったのだろうか。
ご丁寧に教えてくれた女はズブズブと鏡から本丸へと帰っていった。
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灰雪(プロフ) - 壬卯兎さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!とうらぶ小説一緒に増やしましょう!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月14日 20時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
壬卯兎 - 面白いです!なんかもう、書き方から何まで凄く参考になります…これからも頑張ってください!&私もとうらぶ書いてるので一緒にがんばりましょう!更新楽しみにしています! (2017年12月14日 8時) (レス) id: 1ea793e7a1 (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます!狭いジャンルなので初めて読むと言われると嬉しいです!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月12日 22時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - 面白かったです!初めて読むタイプの作品でした。大変でしょうが、続きがめっちゃ気になるので、更新、頑張ってください! (2017年12月12日 21時) (レス) id: 92fa33393a (このIDを非表示/違反報告)
灰雪(プロフ) - 銀色ミカンさん» 応援ありがとうございます!更新頑張らせて頂きます! (2017年12月12日 19時) (レス) id: 20a4380b24 (このIDを非表示/違反報告)
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