痕 ページ1
「そんなすぐに綺麗になる訳ないやん…」
眼帯に触れる私の手を彼は優しくつつみこんだ
手はとても暖かく、表情は柔らかい
なのに…
瞳の奥は冷たく私を見つめていた
「ボクの心配より、自分の心配した方がえんちゃう？」
「自分の…」
彼は立ち上がると、自分がいつも座る位置に私を座らせてくれた
そして、しゃがみこむと怪我をしている私の足をみて優しく触れてきた
湿布の臭いが鼻をつくのを感じ、少し恥ずかしく思った
「これ…やり方あまない？A先生テープ持ってるぅ？」
「テープ…テーピングのならあるけど…」
「貸して…」
手を出して私を見上げる彼に、私は少し顔が熱くなるのを感じた
「キチンと習った通りに巻いたから平気です。そんなに…痛みも感じませんし…」
私が彼から顔をそむけると、靴を脱がせ、足の裏に手を置きグッと力をかけてきた
「…った」
「あははは。あかんやん」
「それは、あなたが力をかけたから！」
「ふふっ。ほら、ええから貸して」
優しく笑いながら言う彼に降参し、鞄からテープを取り出しそれを彼に渡した
私が巻いたものを綺麗にとり、慣れた手つきでテーピングをしていく
「これでええわ…」
彼が先ほどと同じ様に足の裏に手をのせたので、身体全体に力をいれた
そんな様子をみた彼は、すごく嬉しそうに笑いだした
「あははっ。平気やって、力抜いて」
私は、疑いながらもおそるおそる力を抜いた
彼は笑いながら私の足の裏に力をいれた
「痛く…ない」
「だから言うたやん？あまいって」
笑いながら彼は自分のポケットに手をいれてサインペンを取り出した。そして、巻いた足にサラっと文字を書き、その横に可愛らしいニコちゃんマークの絵を描いた
「なっ…こんなんじゃ恥ずかしくて歩けない」
私が、慌てて取ろうとすると私の手首を掴み自分の方へと引き寄せた
「せっかく巻いてんから、取ったらあかんで？」
私を睨みつけながら、私が取ろうとするのをやめさせる
「痛い…」
彼が掴んだ部分が痛み、私が顔を歪めて呟くと彼は掴んだ部分を緩めてはなした
私の手首には、彼が掴んだ痕がうっすらと赤い手形となって残っていた
私がその部分をさすると、彼は今度は優しく私の手をとり『ごめん…』と呟きながら、その部分に自分の唇を押しあてた
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瀬取ぐりこ(プロフ) - 更新だー！これからの展開が楽しみです。頑張ってください (2020年1月18日 23時) (
レス) id: bdea2fdbd0 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - メッセージのお話を少し書きかわっています。更新通知いってしまって読みに来てしまった方、申し訳ありません。今日、また更新すると思いますので気長にお待ち下さい！読者様、宜しくお願いします。 (2019年9月29日 14時) (レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - 昼川 はるくさん» コメントありがとうございます。ここまで読んでいただいたという事で、嬉しい限りです！不安に恐怖、リアルではないのにリアルに感じれる様に作っています。お褒めの言葉に感謝です！これからも頑張りますので、宜しくお願いします！ありがとうございました。 (2019年9月29日 14時) (レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
昼川 はるく(プロフ) - 難しそうな内容だなと思いつつも構成に惹かれ気づいたらここまで来てしまいました(笑)不安と恐怖の煽り方がとても絶妙でドラマを見ている感覚に陥りました。人間の奥に潜む汚れた魂胆や真実を徐々に紐解いていく様子が美しく魅了されました。更新待っています！ (2019年9月29日 5時) (レス) id: 0ceb2e4069 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - ふわふわさん» こんばんは。楽しみにしていたのに、なかなか更新出来ず、申し訳なく思っています！！ありがとうございます！これから少しずつになると思いますががんばります！コメントありがとうございました！！ (2019年9月16日 19時) (レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こじゅMAMA
| 作成日時：2016年1月15日 11時
