仕事 ページ39
私はその言葉を聞き、受付の彼を睨んだ
あれは、どういう事ですか…」
私が質問したというのに、彼は黙り込んだまま気まずそうな表情をうかべた
柵の向こうにいる彼は、そっとまた眼帯をつけてニッコリと笑い歩きつづけた
「とにかく、ボクは元気やから…悪いケド、今日はA先生と話してる場合やないねん。割りあてられた仕事も、面白そうやから」
「仕事？」
「携帯がちゃんと作動するかの仕事に、パソコンで受刑者の給料計算するんやわ。ボクやって、１日ボーっとしてるわけちゃうねんで？」
受刑者の階級によって、様々な仕事が割りあてられる
ボールペンを作製したり、紙袋にするために取っ手をつけたり、老人ホームにまわしたりする御飯を作ったりと受刑者が行う仕事は幅広い
パソコンや携帯。それから受刑者が読む本の仕入れの管理などは、階級が上。もしくは模範囚が主に任命される
パソコンが使えるといっても、ネットはつかう事が出来ないらしいけど…
それ等は、信頼されているものしか与えられない仕事だ
「ここいれられてから…マークされてんのもあって、ずっと俺独居房やんかー？私語厳禁やけど、結構楽しいなぁと思って」
「そう…」
「まぁ…矯正監さんは、あんまボクを集団んとこにいれて働かせたくないみたいやケド」
少し面倒くさそうな顔をし、伸びをしてから前を向き歩き出した
眼帯の先にある彼の黒アザに、先ほどの『不祥事』という言葉が私は引っかかり、慌てて声をかけた
「大丈夫なの…中で、一体何されたの？」
すると彼は立ち止まり、私の方をむいた
「別に…何もされてへんよ？」
「嘘…じゃあなんでそんな風になってるの」
「殴られたから…」
「えっ…」
やっぱりそうなんだ…
彼のアザをみて、推測した通りの答えが返ってきたのに緊張が走った
するとクスリと彼は笑い、それから大きな声で笑い出した
その声は、長い静かな廊下へと響いた
「あはははは。ひっかかった！！嘘！いまの嘘」
「う…そ…」
「んー。気に入らへんかったからぁー。拳にめがけて、殴られにいっただけ」
殴られに…いったって…
どういう状況でそうなったのかが、まるで分からない私は口をポカンとあけた
「ほなまたね。A先生気ぃつけて帰るんやで」
笑いながら手を振って、彼は扉に手をかけて中に入って行ってしまった
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こじゅMAMA(プロフ) - 瀬取ぐりこさん» なかなか更新せずにですみません。お返事も遅くなりました。ゆっくりと読んでいただけたら嬉しいです！ (2020年1月18日 20時) (
レス) id: a147df293a (このIDを非表示/違反報告)
瀬取ぐりこ(プロフ) - お話の構成が天才すぎて、一気に読んじゃいました！ ２に行ってきます！ (2019年10月13日 15時) (レス) id: bdea2fdbd0 (このIDを非表示/違反報告)
こじゅMAMA(プロフ) - トランスさん» コメントありがとうございます。黒安田私も大好きです。更新遅くなったりしますが、更新頑張っていきますのでよろしくお願いします。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: cfe8eab671 (このIDを非表示/違反報告)
トランス(プロフ) - 黒安田君好きです。カッコいいですよね。更新、楽しみにしてます。 (2016年2月1日 18時) (レス) id: fad6927b23 (このIDを非表示/違反報告)
∞ぽむりん∞ - お気になさらないで下さい！検討有難うございます！期待しています♪ (2016年1月31日 17時) (レス) id: 6e7478b2bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こじゅMAMA
| 作成日時：2013年12月17日 14時
