【ヒロアカ】ブラザー☆コンプレックス (ページ30)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:5,626 hit

"個性"の鎌に捕まったページ30

妹の右腕を氷漬けにしてから、数週間が経った。

俺はまともに妹の顔を見ていないし、話も聞いていない。

傷つけ、怪我を負わせ、挙句の果てにこんな酷い無視をされているのに、未だに妹からの視線は止まない。

あれ以来、"個性"の稽古にも全く顔を出さなくなったA。

親父も、何も言わない。

はは、いいご身分だな。俺はまだ散々しごかれているというのに。

実質、妹は"個性"から逃げたのだ。

俺を苦しめ離さなかったあの炎を、妹は手放した。

もともと、嫌いだった妹に"個性"を押し付け、自分は楽になろうとしていたのに。

裏切られた、とでも言うところか。

もちろん、この一件に関して悪人は俺だけだ。

親父も、ただ俺にクソな理由で"個性"を押し付けただけで、譲渡には関係ない。

こんなことをしでかしたのだ、俺みたいな大罪人は天国へ行けない。

だが、地獄へも行かない確信もあった。

それは、今この時が地獄だからだ。

家族には白い目を向けられ、今もうとり繕える相手といえば、妹くらいしかいない、

だが、それは俺のプライドが邪魔して出来ない。

結局俺は、妹に譲渡した後も、炎の"個性"に縛られ続けていた。