【ヒロアカ】ブラザー☆コンプレックス (ページ23)

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あなたはわたしのことを知らないからページ23

あの実に苛立たしいメモを渡された、その日の放課後。

私はの稽古を休んだ。

体調が悪いからと言ったら、父は予想外にもすぐに休むようにと言ってくれた。

その後自分の顔を鏡で見てわかったことだけど、この時の私の顔色はすこぶる悪かった。

最近嫌なことが折り重なったからだろう、私は心身ともに疲れ果てていた。

ショックのあまり吐いた夜に洗った布団の中にうずくまる。

頭の中を駆け巡るのは、あのことがあってからはいつなんどきも"個性"の譲渡のこと。

あれ以来、私はまともに焦凍にぃの顔を見ることができないままでいた。

でも、それはとてもつらい。

そろそろ、話した方がいいのかな……

でも、勇気が出ない。

なんで焦凍にぃは私に"個性"を譲渡したのか。

焦凍にぃは一体どんな思いで私に移したのか。

それを、私は知らない。知れない。

不躾にそれを聞いて、焦凍にぃを困らせたくないし、悲しませたくない。

それに、焦凍にぃには嫌われたくないから。

こういう時、こういう、悲しい時。

私はいつも焦凍にぃに頼っていた。

頼って、頭を撫でてとおねだりして。

でも今はそれはできない。

自分の体温でどんどん蒸し暑くなる布団の中。

私はもっと湿気ったため息をついた。