翠色の瞳の貴方へ (ページ42)

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噂になりたい　#1 ページ42

「A、ちょっといいか？」

残暑が続きまだまだ暑いとある日。クロロさんが私に声を掛ける。

「どうしました？」
「ちょっとコルトピの念を増やしてやってほしい」
「コルトピ？」

まだ会ったことのないメンバーだったからすぐにはピンとこず、少し考える。

「っあぁ！団員の名前ですね、思い出しました」
「そうだ。念を使ってコピーを作る能力なんだが、念が増えるとコピー出来る物の数も増えると思ってな。……いいか？」
「構いませんよ。今週はまだ巻物へ念を送ってませんし」

そう。あれから何度か念を送ってはいるが、なんだか気乗りせずまだ〝其の手〟の三文字のみ。一の書を読んでから気が抜けてしまったのか、クロロさんも『俺の期待するようなことは書いていないだろうから無理強いはしない』と言って私に一任してくれていた。だったら、その分他の団員の念を増やした方がいいんじゃないかお思ってずるずる先延ばしにしているのだ。

「そうか。ありがとう、頼むよ」

クロロさんがそう言うと、長い長髪で顔が隠れた〝コルトピ〟がやってきた。

「初めまして」
「あ、初めまして、Aです。よろしくお願いします」

床にしゃがみ込み視線が合う様にしてみるが髪の毛で隠れていてはっきりと顔までは分からない。

「コルトピ……なんだか子供みたい、可愛い！」

そう言って両手を広げ抱き上げようとした瞬間、視線が突き刺さる。……シャルだ。

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