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衝動 #3 ページ31

“無から生まれし命 不老不死となりて”

“この村には、古くから言い伝えられる話があった。
『数十年、数百年に一度、突如授かる命がある。その命には心臓がなく、不老不死として生きていく運命。その命の為に母親が念で心臓を作り、与えてあげることで初めてその命は生きていける』と。私はそんな話を幼い頃に母から聞かされ、半信半疑で過ごしてきた。
――――月日は流れ、そんな話などすっかり忘れた頃に私は夫と出会い恋に落ち、結婚しイルザが産まれ、さらに時は流れ、孫のヴェルダにも会えた。夫は随分前に亡くなり、私は未亡人となり身体も衰え老いを感じていた頃私は気付いた。“お腹の中に何かいる”と。
幼い頃に聞いたあの話を思い出し、村の外にある医者を訪ねた。結果は予想通り、妊娠していた。
こんな老婆が、と医者は驚いていた。そして『心臓がなく心音も確認できない。死産になるだろう』と告げられた。
この子がいつから私のお腹に居たのか分からない。病院で診てもらった時には既に七か月、八ヶ月ぐらいの大きさだった。
幼い頃聞いた話を頼りに、私は短い時間で必死にこの子のために心臓を作った。
こんな老いぼれの私が母親だと一緒に過ごす時間が余りにも短すぎる。かと言ってこのまま見殺しになんて出来やしない。
そう思い、イルザとヴェルダにだけこの事を話し、ヴェルダの子供として育てることに決めた。
そして私は心臓を作り上げた。“この子へこれから降り掛かるであろう悪意から、必ずこの子を守ってあげてくれ”そう願いを込めて、全身全霊を込めて作った。
そして生まれた可愛いA。
Aと名付けた。この名は私からの最初の贈り物。
生まれた直後に心臓を与えると、元気な産声を聞かせてくれた。神に選ばれし私の可愛い赤ん坊。どうか幸せに満ちた人生を、そう願った。
この子に降り掛かるのは善意だけでいい、悪いことはこの子の人生には必要ない。そう願いを込めて作った心臓。
私から貴方への、最後の贈り物。”

止まることなく目を動かし読み進めていった。どうやらこれは曾祖母の日記の様な物だった。
そして初めて知った、私の出生の秘密。母は、母ではなかった。

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作者名:咲月 | 作成日時:2020年1月8日 0時

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