おかん、あんな？２

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挿管の呼吸機が酸素マスクに変わって、

ICUが病室に移って、





心電図が取れて、

酸素マスクが酸素カニューレになって。





ですが、





ここまでが限界でした。





呼吸が不安定になってきたから、

酸素の微調節が必要とかなんとかで、

退院許可は全くおりず。





せっかくの春の甲子園も見に行けなくて。





その年の春は望の高校は、

珍しく甲子園への切符を逃しました。





悔しいから絶対偵察に行く、だいき一緒に行こな、って、

1月の終わりごろから、散々望が言ってたんですけどね。









…ごめんな？









そんな大毅に望は、首を横に振って言いました。









「んーん、でも、夏は来てな？
俺、絶対行くから。 今、めっちゃ燃えてるから！」









ベッドを起こして、弟に羽交い締めにされてる、兄。





いやぁ、意外なショットでした。





だって、あの大毅を、あの望が抱きしめてるんですよ？





今、想像してもやっぱり変。

かなりの違和感です。









「だいきー、だいきっ。 お、気づいた。
そろそろ、ごはん、食べよっか？」









梅が咲いては散り、桜が咲いては散り。





気づけば望が、高校3年生になってました。









「おかん、あんな、」









俺、浪人してもいい？









朝起きて、朝練に行く前に、突然言われた、その言葉。









「…へ？ 浪人？」









思わず聞き返しましたよ。





ほんで、ナチュラルにツッコミ。

あんた、まだ受験生始まってもないやん、って。









「まぁ、そうやけどさぁ。」









垂れ目がちな目を、さらに垂れさす、望。





その時にはもう184cmぐらいあったと思います。





なのにその見た目は、

しゅん、という擬態語が似合う相変わらずの小動物系。









「なに？ 今度は何を企んでんの？」









この子も前科ありますからね。





そしたら、今度は照れくさそうな顔をして、

こう言ったんです。









「俺が、お医者さんになりたいとか、
…ふふっ、ゆうてみたり？笑」









そして、いってきます、って、

お弁当握って出て行ってしまいました。









「……へっ、？」









また、頭にハテナ。









「淳太くんっ、聞いた！？」

「なにが？」

「の、のんちゃん、お医者さんなるって、！」









大丈夫や、金はある。





旦那はそう言って、

優雅にコーヒーを召し上がられました。





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