おかん、あんな？２

58. ページ8

.









「旦那さんは、ご存知ですよね？」





「……はい、1度旦那の前で、」





「それ以外に、
何か違う症状が出たことがあったとかは？」





「……失神、しました、
桜木さんのお嬢さんが亡くなった時、」





「…えっ、？ ほんまにゆうてます？」









ほんまですよ。笑





ヘラっと笑えば、すんごい深いため息をつかれました。





そして、言い渡された一言。









「精神科と呼吸器科を紹介します。
絶対受診してください。 お母さんが元気じゃないと、
大毅も、旦那さんも弟くんも、ぼくも心配になるんで。」









私の心は、





もうズダボロになっていたのです。





大毅を含む家族を励まそうとするあまり、





元からの心配性と、隠してたはずの神経質がでてきて、





さらには、幼い頃から呼吸器があまり強くなかったのと、

とにかく、いろいろなことが重なってしまい、









重度の過換気症候群になっていました。









先生から、旦那に直接チクられ、

大毅は望に頼むから今すぐ行こって言われて。





本当に、情けなかったです。





母親なのに、

もっと大毅は辛いはずなのに。





そして、またその心が、

こんな精神にストレスを与えてしまうんだろな、って、

気づかされました。





たった18の時に産んだ、1人目の大事な大事な息子が、

100万人に1人の病気になったこと。





それには治療法がないこと。





5年生存率が0%なこと。





こんなにも自分がショックを受けてたなんて。





それもまたショックで、





旦那の胸で子供みたいに号泣。





ごめんね、大毅。





おかん、こんなに弱くて。





ごめんね、





一生分の強い身体を産んであげられなくて。





自分を追い詰め、





ただただ募る、後悔と懺悔。





次の日になるまで、





大毅の顔を見ることができませんでした。









「……おっ、だいき、起きたね？」









それから、目を覚ましたのは、2日経った日の昼。





しばらく私のことをボーッと見つめて、

5秒ほどしてから、納得したようにゆっくり瞬きをして。





絶対、一瞬忘れられました。

もうひどいわ、おかんのこと、忘れるなんて。









「そのチューブ苦しいな？ 抜いてもらおっか？」









ですが、今までで1番、

大毅のことが愛おしく見えました。





心のフィルターが取れてきた感じ。





世界が明るくなりました。





.

59.→←57.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す