リネ ページ10
リネにマジックの練習に付き合って欲しいと言われた。いつも何かとお世話になっているのと彼の性格も鑑みて快く引き受けたら、何故か際どい服に着替えさせられていた。
日頃彼の妹のリネットが身にまとっているような胸元が開けただけのものじゃなくて、胸元は大きく開かれて股がすれすれで恥部を隠すだけの布切れと言ったら良いのか。脱ぎたいと思いながら、腕で自分の体を隠そうとする。
ここに他の人がいなくて良かったと安堵するものの、唯一の人であり異性のリネが近くにいるから無意味だと悟る。
「恥ずかしがらないで、堂々としていれば良いんだ。すごく似合っているんだよ？」
諸悪の根源が茶化してるのかと言いたくなるもので、にこにこのリネに非難の目を向ける。しかし、彼は意に介した様子を見せずにわたしに目線をしっかり合わせる。
「じゃあ、始めよう。早くそれを脱ぎたいだろう？」
それが目的だった。こんな衣装になるんだったら、断ってた。
了承したものはしょうがない。さっさと終わらせて、一秒でも早くいつもの装いに戻るんだ。そんな思いで、おずおず自分の体から腕を離す。
「うん、Aは良い子だね。だいぶ緊張してないかい？緊張でも解そうか」
急にわたしの肩を撫でたと思ったら、彼の腕に包まれた。意味が分からなくて、目を見開いて硬直する。ぎゅうと腕だけじゃなくて体も密着する。自分はすけすけ衣装だから、より密着しているようで恥ずかしくて堪らなくなって視界が揺れて顔だけじゃなくて全身に熱を帯び出す。
「抱き締めたら、よけい緊張したみたいだね。可愛いよ、こんなに体を強張らせて……逆効果、だね」
耳元で囁かれて、艶やかな声色で言われる。背筋がぞくりと震えて、何とも言えない気持ちになる。今度は頭を撫でられて、突然に感じで体がびくりと跳ねた。
「ああ……もう、こんなに可愛いんだから……煽られると、困るなあ」
少し覗き込むように顔を小さく下げた。いつも穏やかな表情だけど、頬を僅かに赤らめて目をややとろけさせたようなものになっている。
異常じゃない雰囲気に、彼に改めて問い詰める。
「ごめんね、実は嘘なんだ」
そんな感じはしたけど！妹に布切れみたいな服は着させる訳にはいかないよね！わたしは良いのかよ！
「そんなことないよ、僕は今の君も素敵に映っているんだから。ねえ、今は僕とAしかいないんだからもっと見せて？」
彼の顔がゆっくり近寄ってきて、間も無く唇に柔い物が当たった。
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