検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:7,136 hit

楓原万葉 ページ3

※学パロ



友達に貸しを作った返済が、まさか好意を寄せて無い相手に告白するなんて。しかも、可哀想な相手は学園内女子にトップクラスレベルで人気の高い楓原君。接点は、昔一回だけ隣の席になって少し話した程度。今も時々話すが、内容は普通。先生が呼んでたとか忘れ物したから貸してと言われる程度。
貸しは貸しなので、1人きりの楓原君を何とか見つけて言葉をかける。

「何でござるか?いやはや、そちらから話しかけてくるのは珍しい。些かどころかとても嬉しいでござるよ」

話し方は相変わらず独特だと思いつつ、嬉しそうな彼に言葉を続ける。本当に一切異性に抱くような好意を寄せていないから、言葉が上手く出ないながらもようやく言い放つ。罪悪感で死にそうなわたしをフってくれ、とっとと忘れてくれ。

「本当でござるな?拙者と交際をしたいと?……ああ、拙者から言いたかったのだが、言わせてしまったのか」

予想とは違う反応で、耳を疑う。目の前の彼は、顔をやや赤らめながらにこりと微笑む。

「拙者も同じ気持ちでござる、夢にまで思っていたことが本当になるのだな」

どうしよう、罰ゲームみたいな感じですとは言い難い状況になってしまった。どういう所が好きになったんだと思ったが、彼はわたしに少しだけ近寄った。

「楓原君ではなく、万葉と呼んでくれないだろうか?情人どうしになったのだ、そう呼んで欲しい」

どうしよう、どうしよう、こんなこと生まれて初めて!嬉しいのか嬉しく無いのか分かり難い!
苦し紛れに、彼の下の名前を呼んでみる。かなり前の授業で万葉集って言葉を習ったが、それと同じ漢字。

「!……ああ、拙者の名前でござる。嬉しいものなのだな……」

弾んだ声色で、頬を綻ばせている。どうしよう、幸せオーラがたくさん出てるよ。
罪悪感に塗れて、焦りしかない。おそるおそる、わたしのどこが好きなのか聞いてみた。最低と感じる理由があれば、何とか落ち着けると思った。

「拙者と隣の席になった時のことを覚えているだろうか、その際にAが臆することなく拙者に話しかけてきてくれたのだ。今までは話しかけられないことや、話しかけられてもあまり良い気分がしない内容のことばかりだった故に……」

懐かしみながら語っているが、確かに彼程度の美形ならそれは普通だ。そう思っていると、彼は穏やかに微笑んで手を差し出した。自分はそれに手を重ねるという選択肢しかなかった。
ああ、もうどうすりゃ良いの。ええい、ままよ!

七七と鍾離→←万葉の親友



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
37人がお気に入り
設定タグ:原神 , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さとうみさん | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年6月29日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。