ニィロウ ページ13
何だか眠れなくて、夜の外に出ていた。自然豊かなスメール故に、空気がとても澄んでいて満天の星空が広がる。うーん、満点。なんつて!
「何が満点なの?A?」
後ろから声がして、振り向くとニィロウが立っていた。
恥ずかしい!さっきの聞かれてた!死ねる!わあーっと頭を抱えて俯くと、「どうしたの!?」と言う声と足音が近寄って来た。もうやめて、傷を掘り返さないで、優しいニィロウ!
「落ち着いた?」
何も言わずに、俯いたままのわたしの傍にいてくれた。そのおかげで落ち着いた、ありがとう。夜風も相まって、少し頭が冷える速度が速かった。
「え、えっと、ゴメンね……出て行くAが見えたから、気になって追いかけたの」
それくらい優しい性格なのは知っているから見られたくはなかった。でも、見られたからには仕方が無い。彼女が隣に座ったのを見て、同じ空を眺めていた。
「綺麗……こうやってゆっくり眺めるのは、久し振りかも……」
感嘆な声を漏らして、満天の星空を青い瞳に映している。それ程、彼女が近い。同性でも何だか恥ずかしい、だってすごく美形だし衣装が衣装だけに気になる。そんな彼女はにこにこして、こっちに目線を向けていた。
「どうしたの?私のことをじっと見てて……あなたなら、たくさん見て良いからね?気にしないで」
舞台上でたくさんの目を受けるのに、わたしという取るに足らない人の目線1人だけで喜ぶなんて変な子だ。でも、今はわたしと彼女だけしかいない静かすぎる場所だから、仕方が無いのかもしれない。
「更に目が覚めちゃった?じゃあ、眠くしてあげる……はいっ、私の膝を枕かわりにして良いよ」
わたしから少し離れたと思ったら、膝をぽんぽんしてこっちを見ていた。素肌なのだけど、何でそうなる。困惑して彼女を見ていたが、少しずつ眉を下げてわたしを悲しそうな顔で見る。その顔には敵わないので、内心謝り倒しながら彼女の膝にそっと頭を添える。柔らかくて良い匂いで、逆に落ち着かない。でも、上に見える顔はとても嬉しそうに微笑む。
「こんなことするのって、実は恥ずかしいんだよ……でも、Aに触れる為だったら、全然気にならないよ」
頬をゆっくり優しい手で撫でられる。剣を持っているのに、綺麗な手だ。柔らかくて心地よくて、何だか眠くなってくる。重い瞼をゆっくり閉ざしていった。
「おやすみなさい、A……私ね、ずっとこのままでいたいな……でも、独り占めは悪い子だよね……」
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