また逢えなくなるのは寂しい ページ6
簡単に彼らのことを聞いたけど、全員初対面だった。でも、皆はわたしのことを懐かしいと言った。
もっと話していたかったけど、天国にそろそろ戻らないとアダム様にまたどうのこうの言われちゃうからと途中で切り上げた。重い槍を持って、ホテルを後にした。アラスターが見送りするって言って、とても嬉しかった。
「どうだったでしょうか」
とても良かった。
アラスターにマスクをしろと言われたので、頭からすっぽり被った。天使ってだけで悪魔たちに悪い目で見られるし、他の見回り天使たちの目を一瞬誤魔化せるから。と言っても、下級天使の中だとわたしの羽は大きい部類だからすぐにバレるかも。
「君はあっちでも人気者だ、前々から察していましたが」
もしかして、アラスターから話を聞いていたのかな。わたしって、地獄をマスク無しでうろついている変な天使だからかな。
「ああ、マスクは付けなさい。そうしないと、顔を覚えられたら厄介です。整っている顔立ちだから、変に目をつけられる」
そう、なの、かな。わたしって綺麗なのかな、でもそうだとちょっと嬉しい。アラスターに言われているってこともあるかもしれないけど、それは多分親しい間柄だから。深い意味はない。
ぶんぶんと首を横に振って、気持ちを紛らわす。きっと、そうだ。
「ふふふ、楽しそうだね。わたしも楽しいです」
そっか、わたしも楽しいからお互いに楽しいと良いよね。重い槍を持ち直して、また道を進み続ける。
ふと何回も同じだけど別役職の天使とすれ違いそうになったけど、横の真っ赤な悪魔によって何とか対面の回避だけはできた。そうだよね、会ったらまずいよね。わたしは天使で彼は悪魔もあるし、天界見回り組の1人のわたしがこんなところにいたら不自然この上ない。
「また逢えなくなるのは寂しいじゃないか、絶対に彼らには地獄にいる限りは会わせませんから」
会って数日程度しか経ってないけど、とても良く接してくれている。それは良いことなんだろうけど、時々変な感じがする。まるで友の再会を喜んでいるみたいな、そんな感じ。ホテルの件でもあったけど、わたしのそっくりさんと友達になったんだろうか。
「……ああ、彼女とは良い友人どうしでした。すごく楽しかったのは、今でも鮮明に覚えている」
悪魔と良い友人のその人は、嘸かしすごい人だったんだろう。まあ、悪魔だから一方的かもしれないけど。そう思う最中、彼は笑みを絶やさずわたしを見ているだけだった。
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