初めまして ページ5
「この後、時間はあるかい？」
着いた先は、ハズビン・ホテルと言う看板が掲げられたホテル。初めて見る筈なのに、とても懐かしい。
「アラスター、どこに行―――っあ、ああ！！」
急に柔らかそうな金髪の女性の悪魔に、空いている片手を握られた。びっくりして、思わず槍を落とした。その音が激しくて、部屋にいた悪魔たちが顔を出した。
「久し振り！すごく綺麗で大きな羽ね！あ……武器、ごめんなさい……」
別に構わないと思いながら、彼女に挨拶をする。天使のAだけど、何だかわたしのことを知っているみたいな口ぶりだ。知り合いなのかなと思っていたけど、白銀の髪のロングヘアーが似合う女性が飛んできた。
「アンタ、いつぶりかい？本当に良かった……とは言えないか」
「おやヴァギー、何故ワタシを見るのだい」
「ん、ん？さっきメイドちゃんの名前が聞こえたけど、メイドちゃんがいるの？」
彼らとてんやわんやしている中で、ピンク色のクモみたいに腕が複数ある男性悪魔と目が合う。すると、一気に近寄って両頬に手を添えられて、力を若干込めてうりうりとしてくる。ちょっと痛い。
「メイドちゃんにそっくりな天使。どう知り合ったのさ―――って、声までそっくりとかすごいね」
彼の複数の手が頭を撫で上げていて、それがちょっとくすぐったい。一体誰なのかと彼をじいっと見ている。
「あ、初めましてだね。エンジェル・ダストって言うんだ。ホント、メイドちゃんにそっくり過ぎて疑似的でも会えて嬉しいなあ」
やけにスキンシップが激しい悪魔だと思っていると、目玉が1つしかない悪魔の女の子の目線も合ってわたしの空いた手をぎゅっと握った。周りが色々ごたついてきて、目が回る。
「彼女に久々に逢えて興奮するのは分かるが、押し寄せすぎですよ。例えばあそこで飲んだくれている彼みたいに、遠くから眺めることはできないのかい？」
皆がゆっくり引いた、そして飲んだくれる猫の悪魔に近寄る。すると、ぎょっとした顔でわたしを見る。
「メイドの嬢ちゃん……じゃないが、あれって天使だったのか？」
「まあ、ハスク！頭が堅いのね！普通にそっくりさんよ！」
「……まあどうでも良いか」
そっか、そう思っているとヘビな見た目の悪魔とふと目が合った。すると、近寄って来た。
「どこに行ってたのだ！久しぶりで、かける言葉が見当たらんぞ！」
そっくりさんは、ここだと有名な顔だったらしい。でも、すごく楽しそうな生活をしていたんだと思えた。
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