何事も受け入れてくれる ページ35
※『頭も弱くとも賢い選択は出来るだろう』のif
アダム様に言われた言葉、それはとても魅力的で彼をあまり刺激しない為に。わたしは頷いていた、彼の情人になると。
「おお、帰って来たぞ！お前の最愛なるこのアダムがな！」
マスクを脱いだ瞬間に、ぎゅうっと抱き締めてきて痛さを感じた。ちょっと離してくれと言ったら、彼は渋々離してくれた。
「俺たちは恋人だろう、拒否することはないだろ」
そうだけど、これってどうなのかな。気が付くと、もうしばらく外に出ていない。彼以外に誰も会っていない、天使の羽で体を軽く包んで眠るしかすることがない。最初は脱出方法を画策していたけど、それが全然見当たらなかった。そのせいで、軟禁生活を送ることになった。
「つれないことを言うな。今日は俺たち2人だけで食べるお菓子を買って来たのだぞ」
手にしていた物は気になっていたけど、お菓子と言って差し出された物。食べる気にはなれない、だって運動していなかったから。
「じゃーん、どうだ！ワッフルだ、前に食べたいと言っていただろ？」
言ってない、誰かと間違えてないかな。
そう言えば、彼は少し焦った顔でワッフル2個を手にした。もう一つは自身の口に、もう一つはわたしの口に突っ込ませた。
「ええい！旨いなら良いだろ！」
状況に飲み込まれつつ、口の中の物も飲み込む。そして、ソファに座る彼を見詰める。
「反応しろ、つまんないぞ」
同じソファに座って、彼の顔を見る。わたしたちの祖先にあたる男で、顔立ちも全く悪くない方だと思う。でも、この関係は心の奥底から嬉しいとか楽しいとかが無い。
「お前が安心して過ごせて嬉しくもあり、何事も受け入れてくれるお前と過ごすことは楽しいぞ」
急に間近まで接近して来て、わたしの肩を抱き寄せて体同士が更に密着する。
「俺が好きか？」
何も言えない、でも嘘吐いて好きって言う。そうしたら、むこうは嬉しそうに微笑を湛えるから。
「その言葉はいつ聞いても良いなあ」
そう言いながら、顔を近付けて唇同士が触れ合った。その間に体を撫でられて、びくびく小さく震える。
「―――良い反応する、もっと見せてみろ」
気付くと、アダム様と天井が見えた。驚いたのも束の間、体に手が降りる。
「良いだろ、お前はどうであれ俺だけのものだろう？」
肌着の下に手が滑り込み、慣れない刺激に立ち向かう。
舌なめずりをしながら、体を弄っていった。
「心のみ別だが、いつか手に入れてやるからな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
