偽らなくなった天使 ページ34
「A！今日は何を報告してくれるの？」
天界で徳だけでなく得をも積めば、地位を手に入れることもできると思いながら彼是それなりの月日が経った。
ということで、何故かエミリー様やセラ様に会う回数がとんでもなく増えてしまった。いわゆる、アダム様と同等かそれ以上の位の天使だとは分かるけど。
「A、貴女は過去に存在した天使に負けじと日々に様々な天使を助けているようですね。素晴らしいことです、これからもその気持ちをゆめゆめ忘れぬように」
セラ様のしゃんとした声で、体がびりびりする。それくらい威厳があるってことだけど、プレッシャーがとんでもない。実際に今着る服装も、最高位の天使と見せつける物に等しいから。
「ねえねえ、この後は暇かしら？今日は、オススメのスポットがあるんだけど一緒に行かないかしら？」
エミリー様に呼びかけられたけど、今日はちょっと用事があるから申し訳ないけど断った。今日は先約さんがいるから。
「あら！分かったわ、楽しんで来てね」
お見送りの後、地獄に向かう為にワープホール関係を弄り倒していた。
「地獄の連中に、自身を見せることに何の意味がある？」
急にアダム様に声をかけられて、驚いて体が跳ね上がった。いるとは思わなくて、思わず裏返った声で返事した。
「俺の善意を断って、天国と地獄を幅跳びする日々で良いのか？お前はやはり奇天烈破天荒天使じゃないか。ふん、お前が碌でも無いことをしたら上にクビを跳ねさせてもらうからな」
ふわふわ浮いて近寄って来て、わたしに詰め寄って来る。悪いことはしていないと言ったけど、それでも目がぎらついている。
悪態吐いているけど、悪いことはしていない。多分。アダム様と別れ、地獄に降りる。その先で、少し歩いていたら赤い悪魔に逢った。
「お久し振りです、ところで……ワタシたち、最近あまり逢えていないのでは？」
ごめん、最近忙しくて。上級天使になった途端にこれで、わたしも悲しい。
地獄をよりよくする為にチャーリーと色々情報交換してて、今日はその日でもあるけど。
「後で良い、ちゃんとした逢瀬をしませんか？ワタシたちは共に過ごさなければいけませんからね？」
彼はにたにたと金色の歯を見せながら笑う。
確かに、わたしもそういうことをしたい。穏やかに何もせずに過ごすことも好き。
「偽らなくなった天使である貴女が、今は堪らなく尊いのです」
そっと抱きしめられ、本当の自分を見てもらえた気がしてとても嬉しかった。
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