助けてくれなかったら ページ31
ぎらぎらの金色の眼に見られ、すくんだままだった。気が付くと、他の天使が様子を見に来ててわたしが回収されていた。
「アダム様は若干癇癪持ちだから、いつもああだよ」
そう言われても、心臓がバクバクと脈打ったまま。さっきされたことと言葉、どちらもわたしを殺さんと逃さないと言わんばかり。そんなのひどいよ、わたしは先代にいたらしい天使とは似てるかもしれないけど違う。悲しくて心が潰れそうだった。
その次の日も、見回り役としてその建物内に赴く。気分は辛いけど、アダム様に近くもないのでちょっとだけ嬉しかった。
「天使共！！お前たちは、俺様らに占領されて命運も握られてんだよぉ！！」
知らない悪魔たちが入って来た。建物内から出ようとした瞬間に鉢合わせた。量はかなりで、1番近くにいたせいで捕まった。
「お前、噂で聞いたあの天使だろ？噂通り羽と武器が一致してるぜ？」
「やめろ！忌まわしい悪魔共め！我々の拠点を占領した程度で！！」
「黙れ！！こちとら、そっちの大量殺戮で気が立ってるんだよ！！」
周りはわたしを労わる声が飛ぶが、その人たちも押さえつけられていて逃げることも救難信号を飛ばすことも困難だ。
押さえ付けられる悪魔に頭のマスクを取られ、周りの視界がよけいにクリアになる。
「これがあの悪魔の気に入る天使か、確かに良い面してんな？」
いやな気持ちにしかなれない。痛いより嫌悪が勝る。
持っていた槍は転がって、足元にある。これを使えれば、何とかなるかもしれないのに手が届かない。
頭の中で念じた、助けて力を貸して、ただそれだけを思った。すると、その槍が飛んで後ろに勢いよく素早く落下する。
「はっ！？」
急に解放されて、空中を浮遊していた槍を手にする。その先には赤く滴る体液があり、悪魔を殺したのだと知る。
ここはなりふり構ってられない。周りの悪魔たちが殺気立って天使を掴んだままわたしに近寄る。
「何だ！！勝手なことをしやがって！！」
そっちがしかけた！叫びながら槍に力を込める。途端にばちばちばちと大きな音を立て、悪魔の頭のみをたくさん吹っ飛ばした。
赤く染まり、悪魔たちは残らず亡骸になっていた。
「いったたた……でも、ありがとう」
あれ、先輩がケガしてる。しかも着ている服にも焼け跡がある。もしかして、わたしのせいでもケガしてるの？
「だ、大丈夫だよ、君が助けてくれなかったら俺たちは酷いことになってたんだ！」
ごめんなさい、やっぱダメ、だ……―――
頭も弱くとも賢い選択は出来るだろう→←思い通りに動かない奴はただの役立たず
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