面白い道筋を辿る姿 ページ25
「どうしたんだい、やけに落ち込んでるけど……」
今日から1人で地獄を歩いても平気と判断を下されたみたいだけど、それをした人が何とも言えない。まあ、良いか。頑張ろ。原始の天使様とは違って、自分なりに進めて行く。
そう思った矢先に先輩に言われた、ああ参っちゃうな。
「ま、頑張れ。その槍を使いこなせるなら無問題だろ、前の持ち主の槍捌きを見たけどとんでもなかったなあ」
強かったらしいけど、武器を持たなかったせいで死んだみたいに言ってた。見回りついでに出会った赤いシルエットさんは、どう言うのだろうか。
「もう使いこなせるようになったのかい？曲者な槍でも認めてもらえるのは、すごいことじゃないですか」
褒めてもらえて嬉しいけど、今はそうじゃない。前の天使様はすごかったんでしょ、見比べることはしちゃうよね。
それはイヤだけど、仕方が無い。わたしに瓜二つな上に偉大な功績を遺すレベルの知名度であれば、比べてしまうまでもないけど。でも、やっぱりこの人だけにはそう思って欲しくない気持ちは強くあった。
「何故？確かに面白い道筋を辿る姿は認めます、しかし彼女は彼女で君は君だろう？雰囲気や見た目はそっくりなのはワタシも同意見。奇天烈で無鉄砲なのは君の特権だろう、彼女は金輪際現れないようなとんでもな破天荒天使でしたが」
くすくすと面白そうに笑う彼に、何とも言えない気持ちになる。そして、ぽんぽんと頭を軽く撫でられる。
「また何かあったら言いなさい、ワタシなりに聞いてあげます」
にこにこ笑う、悪魔の微笑み。だけど、それがとんでもなく素敵なもので、ぼうっと顔を上げて彼を見ていた。普通に飽きがこない、だからだろうけど。何でだろう。
「？どうしたのかな、ワタシに見惚れたかい？」
そうかも、頷く。
ナルシストな一面が時々見えてたけど、それも普通に良いと思ってる。個性って言ったら終わりだけど、普通に自惚れても良いレベルの強さと自由奔放さがあるから。良いな、わたしもそうなれたらなあ。
「ふぅん、自惚れられないと？もう、真面目ですねえ」
上品に笑む彼は、わたしから頭を離しながら言う。
「もしも何もかもイヤになったら、ワタシの元へ来てください。なあに、お互いにとって悪いようにはしないですから」
「だって、他ならぬ貴女なのですから」と朗らかに笑う。
その時が来ないと良いけど、逃げ道を一つくれてありがとう。わたしも何かできたら良いのだけどね。
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