二の舞になると思った ページ19
「もう良い！帰れ！！その面を今日はもう見せるな！！」
そう言われて、ヴェルベットと一緒にある一室で服を着替えたり化粧を落としたりで楽屋みたいな感じに使っていた。
「結構化けるね、元が良いからかい？そうだ、モデルになる？」
そうだと嬉しいな、でもモデルは良いかも。そう思いながらローブや靴を履き直した。そして、頭にマスクを付けた。これで槍を持ったら、下級天使Aが完成する。
「今日だけ顔を見せなくても良いなんて、気に入られてる証拠じゃん？3回目でロクでもないと思った会合でも、こうして追い返さないし。あ、でもこの写真は面白いから持っとくよ。タダじゃもったいないレベルだしね」
彼女の手には、ぴらぴらと動く写真がある。それには、わたしがかなり悪魔的カッコウをしている様子が映っていた。いつ撮ったんだ。
そう思いながら、彼女に見送られてとても良い高い建物から出て行った。
「おや、あの人形の悪魔に連れて行かれて二の舞になると思ったのだけど。しかし、無事そうで良かった」
ラジオデーモンこと、アラスターにすぐ出くわした。にこにこしながら、わたしの頭を撫でた。少しくすぐったいので、ちょっと声を漏らした。
「そうだ、ホテルにいた悪魔もどきさんがいた時に作った料理の再現度がニフティ曰くとても高くなってきているらしい。君も食べてみるかい？」
それは気になるかも、でも悪魔もどきなんて変なことを言うじゃないか。まるで悪魔じゃない存在がいたみたいな言い方で、ちょっと不思議。まあ、地獄には天使か悪魔しかいないからそういうことはないよね。
「彼女もすごい楽しい人でした、色んな悪魔たちに囲まれてとても困っていたみたいで。もちろん助けてあげました、楽しそうでしたけどね」
そっか、その人は色々あったんだ。でも、楽しそうかな。わたしも悪魔たちと仲良くしたいし、わたしを見てもいやがる人が一人もいなくなればなと思う。
もしかして、過去形だからまたいなくなっちゃったのかなと思っていた。
「その人も不思議なことに、Aにそっくり。彼女との交流も楽しかった―――あ、着いたみたいです」
アラスターって交友関係が多いのかな、羨ましいかも。悪魔だから自由奔放オブ自由奔放で、そう思うのかも。でも、友達も羨ましい。彼に永らく覚えてもらっているのだから。
「このホテルの唯一のメイドの彼女が、君に会いたがってもいた。だから、会ってあげて欲しいです」
そっか、うん、分かった。
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