一泡吹かせないと気が済まない ページ17
気が付くと、代わる代わる服を着ていた。羽が障害にならないようなデザインの服で、少し戸惑いながらどうしたものかと悩む。
「男だったらどうしようかと思ったけど、やっぱり同性でホッとしたよ。ま、男でも着せてたけど！ね、どう？」
と、とても恥ずかしい。肌も結構見えるし、頭のアクセサリーがちょっと重い。それを伝えながら、外そうとする。しかし、そうしないでと言われて手を引っ込めさせられた。
「おい、何してるんだ。誰かいるのか―――……は？」
テレビ頭の悪魔と目が合った。彼に対して、遠慮気味に手を横に振っていた。彼は目をぱちぱちさせながら、わたしとピンク色の髪の悪魔を交互に眺めていた。
「天使を連れ込むバカがいるか！！クソ、何でコイツに三回会うんだ！！」
彼を見ていると、ヴェルベットと目が合う。そして、知り合いかと言いたげな目で見ていた。全然知らない。
「百年前にも数年前にも、何故同じ顔に何度も出くわすんだ！！」
「カンカンだけど、何かあった？」
知らない、ほんとに知らない。彼女に必死に弁解する。そう言っても、彼らの名前を全然知らない。
「これで二回目か。ヴォックスだ、多分コイツも自己紹介していないだろうな。彼女はヴェルベットだ」
「あ、忘れてた。ま、よろしく」
ヴェルベットとヴォックス、まあそういう悪魔たちがいてもおかしくはないのか。でも、ヴォックスの顔は険しいまま。
「お前、まさかラジオデーモンとまた仲が良いんだろう？」
そうだと頷きながら、また渡された衣装に困惑を覚える。もう何が何だか、わたしだってそういうことはしたいという訳ではない。
「……今度は同メンバーに目をつけられているからムリか……」
「ん？そういや、結構前に似た天使がここに来たような……そんで、テレビに出して欲しいって言ってた」
「断ったぞ！あんな下らない番組！！強いて言うなら、彼女の容姿なら視聴率は良かっただろうな」
「このコにそっくりだけど、子どもか何か？」
「知らん」
彼らの会話を聞きながら、どうしたものかなと悩む。こんな服を着て帰るなんて、とんでもない。そろそろ帰っても良いかと声をかける。
「ダメに決まっているだろう！！来い、アイツをまたおびき出すぞ！！」
「もう、前にも負けたじゃん……」
「うるさいうるさい！！一泡吹かせないと気が済まないに決まっている！！」
何故か悪魔みたいな化粧を施されて、困惑が勝ってきた。何でこうなるの！
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