そのきっかけになった天使 ページ2
「下級天使のA！何故地獄にいた！理由を今すぐに答えろ！」
天使たちが集う建物に入った瞬間、アダム様の側近の天使に連れられてアダム様とすぐお会いすることになった。一緒にいて欲しかった側近の天使は引っ込んで、アダム様と一対一になる。わたしより大きな天使だから、びくびくしてしまう。実際に漂う雰囲気が、ピリピリを通り越してびりびりで体を突き刺す感覚がする。
そう対面した瞬間、怒髪天な怒り声に打ちのめされる。縮み上がって震えるけど、勇気を奮い立たせて何とか理由を述べようとしてもすぐに言葉が飛んでくる。
「事故なのか？事故なのだろう？そのきっかけになった天使を教えろ」
何となくだけど、教えたらきっと突進して来た同期の下級天使が悪いことになる。苦手だけど悪い人じゃないので庇わなきゃ。
だから、武器を落としてしまって地獄に転がってしまったと言う。ころころ転がって、気付くと悪魔の足で何回も蹴られてちょっと遠くまで行ったから追いかけた、と。嘘は良くないけど、あの天使の為だと思おう。そう思わなきゃ、やってらんない。
門番の天使にも、後で一応言っとかなきゃ。そして何とかお品物でも用意しなきゃ、お金あったかな。覚えてないや。でも、頑張る。
「本当にそうなのか？武器を見せろ」
え、えっと、あ、あの、ほ、ほうら！えいっ！
バギィッっと音を立てた武器、等間隔に手にして手と手の間に打ち上げた膝が見事にそれを成し遂げている。やっちゃった……ごめんなさい、アダム様。あなたからもらった武器が、意図もしない形で壊れちゃいました。
真っ二つに割れた武器を差し出して、まるでさっき悪魔に事故的にボロボロにされたと見せつける。ちょっとやつれてたって言うのに信憑性は必要。
「……そうだな、そう言うことにしておこう」
とても呆れた声色になった、でも良かったと心の中で安堵していた。でも次にはまた怒号が飛んでくる。
「支給武器の破壊により謹慎を言い渡す！異論は認めんぞ！」
はい、ごめんなさい。
真っ二つの武器を奪われて、ふんずけられた。そして、木っ端みじんになって、あっという間に塵すら無くなった。
「しばらくこの建物の掃除に命じる、掃除に配属している天使に話でも聞け」
すみません、失礼しました。誠心誠意謝りながら、そっと出て行く。
出た先で側近の天使にじろりと見られたけど、負い目を感じて謝罪をする。むこうは何も言わずに、アダム様のいる部屋に入って行った。
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