第五話。 ページ7
「・・・コホン、え、えっとですね、真島さん。」
わざとらしく咳払いをして声をかけると、真島さんは首をかしげる。
「何や?」
「こ、こんな時になんですけれども・・。」
「なんや、トイレかいな?はよ行ってきぃ。」
「いや、そうじゃなくて!!!」
「じゃあ何やねん、簡潔に言えや。」
真島さんに急かされると、私はすぅっと息を吸い込んで言った。
「た、頼み事があって・・。」
「頼み事?・・あぁ、金ないんか?それは問題ないで。」
「違います!違います!!!」
何やねん!とムッとする真島さん。
言っちゃっていいのかな・・。ええい、言っちゃえ!
「あ、あの・・
私を、東城会に入れてください!!」
「ふーん、何や、そんなこと・・・か・・・?」
真島さんの動きが止まる。
「・・・は?・・いや、Aちゃん。」
「なんですか?」
「・・・今、自分で言うた事。意味、分かってて言っとるんか?」
真島さんは、慎重に問いかける。
「わしの事は知らんでも、東城会の事は一回でも聞いたことがあるはずや。・・どんな組織か分かっとるやろ?」
「はい。」
「じゃあ、なんで入りたいなんて言うたんや。」
「入りたいからです。」
「入りたいから、ってなぁ・・。冗談はよせや。それにAちゃんは女やろ?」
「どうしても入りたいんです。」
ぶっちゃけ、それしか理由はない。ほんとの事なんて言えないし。
「枝先でも下っ端でも構いません。私を東城会に入れさせてください。」
負けずに真島さんの目をずっと見続けていると、真島さんはふぅ、と一息つく。
「ええで。」
「あ、ありがとうございます!!!」
やった!!やった!!すんなり入れそうだ!!!
「ただし、や。」
「ただし・・?」
何か思いついたような顔をする真島さん。
私は頭にはてなマークを浮かべる。
そして彼はニヤッと笑い、こう言った。
「わしと喧嘩しよや!!」
「え?」
「わしに勝ったら、幹部スタートや!」
「え、いや、別に幹部からじゃなくても・・。」
「ええってええって!幹部からの方がなにかと楽やろ?」
「まぁそうですけど!でも私女だし・・」
「わし、女子供は殺らない主義やねん。」
「じゃあなんでやねん!!」
つい関西弁が移り、突っ込みを入れてしまった。
「Aちゃんを初めて見たとき、何かを感じたんや。
それを、確かめてみとう思うてなぁ!」
「え」
腕を引かれる。今度は喧嘩をするみたいです。
(続く)
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作者名:顕微鏡 | 作成日時:2016年9月13日 23時