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「この度はこちらのクリエイターの視聴者さんの行き過ぎた行動のせいで怪我をさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
『や、あのっ。頭を上げてください！謝罪を頂きたくてお呼びしたわけじゃありませんし…私の方こそ、大事なクリエイターさんや事務所の方々にもご迷惑おかけして、すみませんでした』
両者が深々と頭を下げていく様はなんだか不思議な絵で、その違和感に当事者であるはずなのに蚊帳の外のような気がした。そして改めて全員で顔を見合わせたところで隣の虫さんが大きく息を吸ったのを肌で感じた。
「とりあえず、事実として彼女はりょうくんの恋人です。公表するしないに関わらず、彼女は一般人なので彼女の安全やプライバシーが守られることが大前提で今後の対策を考えたいと思ってます」
「そちらについては、同意見ですので大丈夫ですよ。全力で対応させて頂きます」
『お手数おかけします…』
「なんでお前が申し訳なさそうなんだがや、もうちっと被害者ヅラしとけ」
『いいでしょ…そういうタチなんだもん』
「まぁまぁ、としみつ。話戻すよ」
現状Aちゃんはオートロックのマンションじゃないから早々に引っ越すかほとぼりが冷めるまでオートロックのマンションに移るかどちらかになったけど、あっさりとりょうくんが自分の家でいいと言ったので慌てふためく彼女をスルーする形で決定した。身の回りの世話も必要になるし、何かあった時にすぐ手助けが出来るから名案だと思ったけど、当のAちゃんはなんだか申し訳無さそうに眉を下げている。
「…最後に、今回のことについてだけど。僕は動画で公表すべきだと思う。こんな事、二度とあっちゃいけない」
『正直凄く悩んだけど、もしまたこんな事が起こってしまったら、またみんなに迷惑かけちゃうし…そういう意味では公表は否定しない』
「動画の内容については、僕たちに任せて貰っていいですか？」
「大丈夫です、お任せします」
こうして話し合いは滞りなく終わり、直ぐに動画撮影に入った。別室のテーブルで不安そうにこちらを見つめる彼女にりょうくんが歩み寄って、二言三言話すと笑顔になるAちゃん。どうかこれで、誰も傷つかない日々がまた訪れることを祈ってカメラに向き直る。視界の端でとしみつが苦しそうに溜息を吐いたのは、どうか気のせいであってほしい。
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夜宵(プロフ) - 蒼姫さんの作品を遡って読んでいたらこの作品にたどり着きました。いい意味でオチが全然見えなくて、ハラハラしながら読み切ってしまいました。蒼姫さんのペースで構いませんので、完結まで楽しみにしています。 (2020年5月8日 19時) (
レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼姫 | 作成日時：2019年8月22日 13時
