「人生万事 塞翁が虎」めいてぃむ ページ1
めいてぃむ
その日、めいてぃむは河原の側を散歩していた。そしてそこに突如現れた川から突き出た二本の足。
足はくるくると回転しながら鴉の止まり木と化している。
「人?た、助けなきゃ!」
めいてぃむは慌てて、足の方向へ両手をかざした。
「えいっ!」
すると、川の人物の体がふわりと浮いて空中を少しずつ移動し始めた。
「う…、も、もうダメ…!」
苦しげにめいてぃむが呟いた途端に浮いていた人物は落下し、見事地面と接吻をした。
「わー、ごめんなさーい!」
謝罪の言葉を口にしながらめいてぃむが駆けてくる。
「…ちょ、ちょっと、めいてぃむくん!今の何⁉なんか体浮いたんだけど!てゆうか台本にないことやっちゃ駄目!」
川から引き上げられた人物、太宰はガバリと起き上がり叫んだ。
「えっと、今のは念力です!まだ僕も上手くコントロール出来ないんですけど、頑張りました!」
キラキラと眩しい笑みを浮かべながら説明するめいてぃむに何も言えなくなってしまった太宰は川の向こう岸を指差した。
「ほら、国木田くんも驚きすぎて何も言えなくなっちゃってるじゃん!」
向こう岸にスタンバイしていた国木田も今の念力騒動には度肝を抜かれたらしい。ただ呆然と突っ立っている。
その時、めいてぃむのお腹がきゅるると音を立てた。
「えー、コホン。空腹かい少年?」
「えっと、そうですね!お腹空きました!」
「…」
「国木田くんが台詞を忘れてしまったみたいだから先に進むね」
「はい!」
「君、名前は?」
「めいてぃむです!」
「ついて来たまえめいてぃむくん、何が食べたい?」
「えっと、じゃあ…抹茶ドーナツ!」
満面の笑み。可愛い。
「ま、抹茶ドーナツ⁉めいてぃむくん、そこはお茶漬けって答えないと」
「僕はお茶より抹茶の方が好きです!」
太宰はめいてぃむの可愛らしい笑みに負けた。
「し、仕方ないな…。とりあえず、私の名は太宰……太宰治だ」
「知ってます!」
「そういう事言わない!」
その後、2人は固まっている国木田を回収してから食事処(まさかのミ◯ド)の撮影に臨むのだった…。
続く。
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作者名:三日月 | 作成日時:2019年4月27日 20時