自覚【ミホーク】 ページ35
いつもの静かな昼過ぎ。
｢…。｣
ひんやりとした湿った空気と静寂が城の一室を満たしている。静かな部屋の中には私が本のページを捲る音と、彼の寝息だけが聞こえていた。
(相変わらずよく寝る人…)
静かな寝息をたてて眠る彼の寝顔を見つめる。少しワインを飲んで、彼はすぐに横になってしまった。
少し疲れた目を休めようと、曇り空と霧で薄暗い外にふと目をやると、遠くにピンク色と緑色の髪が見えた。ペローナちゃんとロロノアくんだろう。
私はぬるくなってしまったコーヒーを口に含んで、また本のページをめくった。
｢…っ！？｣
不意に私の髪を大きな手がかきあげる。
｢え…何？｣
顔を上げると、金色の目と目が合った。その目も何故か大きく見開かれている。
｢…？どうしたの、ミホーク？｣
私の髪を愛おしむように撫で、そっと耳にかける彼の手におずおずと触れた。彼は困惑しているような顔で口を開いた。
「顔が…見たいと思った」
そう言った彼の指が、所在なさげに私の耳に触れる。くすぐったさに少し身をよじった。
「…！…すまん」
私の頭からそっと彼の手が離れた。彼の体温が、まだ髪にかすかに残っているような気がする。
「…驚かせた、か」
「そりゃ、驚くわよ」
驚かないわけがない、と私は目を逸らした。
「急に、顔が見たい…なんて、言われたら…」
私はちょっと俯いて、片手を口元にやった。恥ずかしくて、何だか、妙な気持ちになっている。
(もう甘酸っぱい変愛、なんて歳じゃないのに…！)
情けないほど高鳴る心臓に、私は顔を上げるのがなんだか恥ずかしくなっていた。
頬が、熱い。
「…俺は、多分お前に惚れているんだな」
突然ミホークがそう言った。これ以上は上がるまいと思っていた体温がまた上がっていく。
そっと彼の手が私の頬に触れた。大きな、無骨な手だ。
(暖かい…)
無意識的に、彼の手に少し頬擦りをしていた。
｢！｣
触れられた場所が熱くて、何だかドキドキとする。もう少しだけ、こうしていたい。
そう思った時、自分の中で何かが腑に落ちた。
「多分、私も…そうみたい」
貴方と居ると居心地がよかったのは、きっとそういうことなんだろう。そっと頬を緩めると、彼の目は少し見開れ、また細められた。
「…好きだ、A」
そう言うと、彼の唇が私の唇に触れた。
彼との初めてのキスは少しワインの味がした。
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
