優しい奴【サボ】 ページ34
Aは優しい奴だ。
「また仲間を庇ったのか？」
呆れる俺の前で、Aは少し困ったように微笑んだ。
「危ないところだったから、つい……いてて」
Aの頬には痛々しい青アザが広がり、顔のあちこちには切り傷やら擦り傷がついていた。
「怪我は、よくないぞ」
「…心配かけて、ごめん」
「そう思うなら、気をつけてくれよ」
そっと頬に触れると、じわりと掌に熱が伝わる。
Aはいつも生傷が絶えない。それは本人がドジだという事ではなく、いつも仲間を守るために身を呈して庇ってしまうからだ。
普段から困っている人は放っておけない性格で、人一倍優しいAだからこその行動なのだろうが…と俺はAの頬に視線を向けた。
「こんなに痛々しいの、あんまりだ。綺麗な顔が台無しじゃないか…」
お互い逃げ延びるか投獄されるかの戦いの中だから仕方ない事ではあるが、痛々しい痣になっている頬に俺は顔を顰めた。そんな俺にAが不意にぱっと笑顔を浮かべた。
「ん…？どうした？」
「これは？」
ニコニコと微笑むAに胸が詰まる。優しい奴だから、俺に心配かけたくないから、そんな顔をするんだ。
「かわいいよ、馬鹿」
俺はAを強く抱き締めた。
それから数ヶ月後、Aは死んだ。
革命軍にいつもの活気はなく、皆が喪にふくすかのように黒を身につけていた。
「…。」
Aは、最後まで優しい奴だった。見ず知らずの子供が、貴族に撃たれそうになっていたから庇って死んだ…らしい。
「…。」
エースの時のように泣き叫んで転げ回る気力すら起きない。まるで俺の心がすっぽりと抜かれたみたいだ。俺は黒い服を着て自室の椅子に体を沈めていた。あいつは、俺にとって1番で、たった一人の女だった。
─サボ、私は優しい人でいたいの
─私みたいな子供時代を過ごす子供が居ない世界にしてあげたいのよ
悲しげに微笑んで、そっと背中の『龍の蹄』に手を伸ばすあいつの仕草を思い出す。
怪我をして心配する俺を安心させようと見せたあの陽だまりのような笑顔を思い出す。
「…なんで……」
俺はゆっくりと両手で顔を覆った。
神様に聞いてやりたかった。
どうしてあんなに優しいな女が死ななきゃいけなかったのか、と。
あんなにいい奴をこんなに早く死なせるなんて酷いだろう、と。
「なんであんたは…俺の愛する人達ばかり…俺から奪うんだ…？」
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りと(プロフ) - こゆさん» お返事が遅くなってしまい、すみません<(_ _)>リクエスト承りました！ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせて頂きますねヽ(*^^*)ノ (2021年8月11日 19時) (
レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
こゆ - 夢主がロシナンテと女性が仲良さげに話していて嫉妬する話を見て見たいです！ (2021年8月9日 23時) (レス) id: 0874e209a6 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - マリコさん» マリコさん、リクエストありがとうございます！しかし、残念ながらこのリクエストは受けられません…すみません<(_ _)>プリキュアに関する知識がないことや、私自身の地雷に抵触する部分がありますので…|ω･`)他の短編集でのリクエストをオススメします(´∀｀*) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 嫁子ちゃん。さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、本当に励みになります(^^♪修正・加筆後に、また新たなお話を追加していく予定ですので、待っていていただければ嬉しいです(*´∀｀) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ☆kon☆さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(>人<) (2021年7月31日 1時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りと | 作成日時：2018年1月16日 22時
