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ドアが開く音がした。
誰が来たのか、ふとそちらに目線を送る。
そこにいたのは、肩で息をしながら立っているいるはずもない悟だった。
『……え?』
私は幻覚かと思った。
「ごめん……驚かせる為だけに、ちょっと顔出しに来た」
『予定は?蹴ってきたの?大丈夫なの?』
「少しだけ無理言って時間あけてもらった」
それだけで私は涙が溢れてきた。
『悟の……嘘つきっ……好きだよ、ばか』
そう言っていつもの倍近い力を込めて荒々しく悟を抱きしめた。
「ごめんな。最近会えなくて」
『ん、許す……』
そのまま5分以上私は悟を抱きしめたまま泣き続けた。
『ごめん……抱きしめすぎたね。わざわざ忙しい時間を割いてまで来てくれたのに……』
抱きしめていた時は、幸せという欠片が瓶いっぱいに詰まって、溢れ出して、包まれているようだった。
でも、ふと抱きしめるのをやめると申し訳な気持ちが一気に押し寄せてきた。
「別に気にしなくていいけど。俺も幸せだったし」
『なら良かった』
「じゃあこれだけ置いてもう行くわ」
そう言ってアイスの詰め合わせを渡してくれた。
『ありがとう。頑張ってきてね。次の時まで待ってるね』
「おう、待ってろよ」
そう言ってまた何処かへ行ってしまった。
少しの時間だろうが二人で同じ時間を共有できる、それだけで私の心は満たされていった。
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ゆず - お知らせ、把握です!私も来週テストです、、更新楽しみにしてます!! (2022年6月12日 20時) (レス) @page18 id: a570195afd (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - いつも更新楽しみにしてます (2022年6月9日 22時) (レス) @page17 id: 785825e28f (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - もう死んでしまうのに、こんな大切で別れたくない人に出会ってしまったと考えると涙がとまりません。 (2022年5月12日 1時) (レス) @page11 id: 1dca6ab714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまね x他1人 | 作成日時:2022年1月27日 7時