魔界入りした胡蝶の夢3(魔入間+魔d!) (ページ38)

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130.ヒミツの共有ページ38

「あの、実はシアさんには僕の事、話してて」
「えっ！？」
『僕の事……ってあっ、えっ？！もしかして例の件バラム先生にも話したの？！』

事情説明が省かれていたのは彼が人間である事を明かしたことに関する話だったらしい。その話を聞いて、危機感云々の説教をされていたのに合点が行く。

『あぁ……その、イルマくんが私にそれを話してくれたのは、うっかりバレたとかじゃなくて私が先に似たような事を明かした所為なんです』
「似たような事？」

危機管理能力が足りないとかではない事を説明する為には、ある程度自分の事も話す必要があった。

『先日、私が人間界の字を読める事が発覚しまして……アルベルトさんに発見されるまで人間界に居たのかなって考えたんですよ』

あの日発見されるまでの記憶は無く、それまで行方不明だったことを踏まえても可能性はある。寧ろ、同時に思い出した"自分じゃない自分の記憶"さえなければ、それが正解だと決めつけていただろう。

『……位階(ランク)の低い悪魔が正攻法で人間界に渡れないのは知っていたので、不正渡航が疑われると思って弁解した流れで聞きました』
「色々聞きたい事はあるけど……！まずは……」
『いやほら、私とイルマくんはお仲間、いやオトモダチ同士ですから！ヒミツのやり取りの一つや二つくらいありますよ』

大体保護者の理事長やオペラさんは事情把握してるでしょうから、今私がそこまで神経質になる必要はないかなって。と食い気味に続けて言ってしまえば、バラム先生が困った表情をした。

「とにかく、自分の身をキチンと守って、困り事は抱え込まないこと！これはイルマくんだけに言ってるんじゃないから……」
『善処します』
「君のそれは検討しないときの返事だよね？」
『冗談じゃないですか、半分は』
「半分冗談じゃないのが問題なの！」

そんな会話を百面相しながら聞いていたイルマくんに視線を戻す。

「すみませんシアさん、色々説明してもらうことになってしまって……」
『気にしないで、事情を知ってて相談ができる大人が多いに越したことはないですから』

この時バラム先生に少し微笑ましそうに仲良しだねと言われて、何て返していいか迷ったのは内緒である。

『そういえば、私この前の事の報告に来たんでした。えっと、トンちゃんの件と使い魔の件なんですけど……』

外が暗くなり始めた頃、私はこの部屋を訪れた本題を切り出した。