魔界入りした胡蝶の夢3(魔入間+魔d!) (ページ32)

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「俺がその"魔狼"だぜ！かかってこいよ豚ども！！」
「……はああ！？！？」

驚愕するトントン、困惑して二の句が出ない私、震え逃げ惑う里の民たちで辺りは阿鼻叫喚となった。

「ふざけんな!!いくらドッキリでも今回のは流石に悪辣がすぎるぞ!!おいゾム、あいつらを止め＿＿おわっ！！」
『うわ危な！一体何して……』

日頃からの"慣れ"のおかげか火薬に気づけた私はどうにか魔力の蝶を壁にし爆発から里の民たちを庇う。こちらに当たらなかった爆弾は雪を派手に音を立てながらぶっ飛ばし、そのせいで怯えて動けなくなるデビルポークの姿が見えた。

「カミングアウト、オレも魔狼だぜ。ちょうど腹が減ってきたとこだし、今日の晩飯は……焼き豚かなぁ〜〜」
「……ッ、ええ加減にせえよお前らーーッ！！」

チェルーシルで服の一部を変えて魔狼と名乗るシャオロンたちが何をしようとしているかは何となく察するが、逃げ惑う里の民達を前に自分も計画に加担し今この状況に水を刺さないを決められるほど悪魔じゃない(悪魔だが)。

「俺らは一足先にコイツを美味しくいただいてくるぜ！！いくぞショッピ！！」
「はーい」
『待っ、どこ行くんですか！！』
「ちょっ、待てお前ら！話がまだ……う゛ッ！！」

彼らを追おうとしたのを妨害するように再び飛んでくる爆弾を受け、吸ってしまった煙を咳き込み、何とか体制を立て直せば震えて動けない豚たちの前に立つゾムの姿が見えた。

「おいおいおい、お前らの相手はこっちだぜ？いいのか？ここにいる豚さん全部コゲコゲのバラバラにしちゃっても…」
「アカン、やめ……！！」
『……伏せて！』

極力使うのは避けたかったが、私は両手に手に死蝶さんのEGOである白と黒の二丁拳銃を呼び出して、片手で爆弾を弾くために蝶の弾丸を撃ち、手を空ける為に片方を咥えるようにしてもう片方の手で魔力の蝶を放つ。

里のヌシさんがゾムの前を素早く低空飛行し動けなくなった里の民達を救出したのと、弾かれたダイナマイトの爆発が蝶に巻かれてクラッカー程度の音になったのはほとんど同時であった。

「お、おう！シアさんもこっちへ！」
『今行きます！！』
「おいオレのこと無視すんなよ！」

自分よりも後ろをついて逃げる豚がいないことを確認してから軽い目眩ましと防御の為に蝶を煙幕代わりに使い、地面を蹴って羽を広げて、主さんによる避難誘導の最後尾を守るような形で飛んだ。