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96.欲望 ページ4

図書室で一人、彼女は悩んでいた。

彼女、シアの周囲には欲に忠実で形は違えど"わかりやすく"、"悪魔らしい"悪魔が多かった。それに比べると彼女は良く言えば幾分理性的で、悪く言えば掴みたい目標もなく漂っている。

だから彼女は悩んでいた。
己のわかりやすい目標がないことに。

周りの目標と自分を何となく比べてはその違いを感じていた。

『……私はどうなりたいんだろう?』

この世界におそらく2度目の生を受けて、私は、

人気になりたいとか目立ちたい訳でもない。知識を吸収することは好きだが、それで何かになりたいかというと違う気もする。わかりやすく魔界最強になりたいとかそういう気持ちもない。

中々出てこない解に思わずふっと気持ちを緩める、

『(あ、)』

気付いた。私、私自身のことを全然知らない。
私自身のことなのに他人事みたいな感覚が消えない。


まずは、私自身のことを知りたい。


それは今まで提示してきた"欲望"の中で最も私に馴染んだ解答だった。
そして願わくば……

友人達(みんな)の側で肩を並べていられる悪魔(わたし)でいたい。


「プシュケー・シア」

ほとんど人のいない図書室の静寂を裂くように名前を呼ばれる声が響く。ジョニー先輩だった。思案に耽る前にキッシュ先輩に与えられたヒントから師団の規定について調べて導き出した答えを思い出した。

『……3年生以上の生徒が1人、もしくは位階(ランク)"4(ダレス)"以上の生徒が3人。キリヲ先輩が休学になった今魔具研究師団が師団の規定を満たしていない事についてですよね?』
「そうだ。魔具研究師団を正式に活動休止とする。再開のために団員には各自他の師団で"研修"を受けてその師団の団長から推薦文を貰う必要がある」
『なるほど……私以外の団員はどこの師団に?』
「アスモデウスは魔術開発師団に、ウァラクは遊戯師団(ゲームバトラ)へ。入間は生徒会が直々に受け持っている……って何だその顔は」
『いやその、アズくんの半狂乱とイルマくんの冷や汗が目に浮かぶなと思って』

あちゃ〜……という気持ちが顔に出ていたらしい。というかあの3人を知っていたら表情に出したくもなるだろう。

『で、私はどこに派遣されるんです?』
「潔いな。お前が研修に行くのは……




私は何度か授業で訪れた温室となっている植物塔を訪れていた。

『研修先が魔植物師団になるとは……』

そうして魔具研団員のバラバラ研修計画が始まったのであった。

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アスルル - はじめまして〜コメント失礼します。凄い…主人公の感じがほんわりしているようで、しっかり自分を持っているのが良いと思いました。がんばってくださいね。 (9月11日 7時) (レス) @page17 id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:郷音豆腐。 | 作成日時:2023年1月16日 15時

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