121.違えても変わっても3 ページ29
「うーーさむむむ……ふゆでもないのになんでこんなさむいねん……」
「無理してついてこなくてもよかったんやでお前ら……」
「なんやおまえ!またそんなこといってひとりでかつやくしようとしやがって!」
「5人と1匹……絶対生きて帰ろうぜ!」
なんだか既視感があるらしいその会話に耳を傾けながら、徐々に視界にしめる割合を増やす雪景色を見る。
「まぁゾムとシャオロンはさておき、ショッピくんとシアさんまでついてくるとは思わんかったわ」
『乗りかかった船ですし、心配ですからねトンちゃんの事』
「まぁ、魔獣の生態には興味あるんで……それに使い魔に関しちゃ僕も他人事じゃないんでね。あ、そろそろ目的地ですよトントンさん」
なんやかんやでシアはトンに甘いもんな。たまぁにお菓子とかやってんの知ってんねんで俺、と暴露を受けながらも、気づけば一層色濃くなった雪と山肌が作り出す景色が目の前へと広がっていた。
「こっ……これは……っ!!」
「あーそうそう!こんなんやったこんなんやった!」
聞こえた鳴き声の方に視線を向ければ、そこにはデビルポークが1、2……8匹ほど居り、この地域に住む群れの一部であろうことが推測できた。
「あ、あれ……?も……もしかしてこれ……」
足音に気がついたのかこちらの存在を認識したデビルポーク達の雰囲気が変わるのがわかる。低い唸り声に、魔力の流れを抜きにしても刺々しい威圧感。明らかにこれは、
「なっなんでっ、なんでこの子らこんなに怒ってんのーーー!?」
「シャオロンお前っ、こんな危ない場所に遠足来たとかマジかよ!?」
怒って追いかけてくるデビルポーク達から慌てて逃げる。地面を駆ける上で2足歩行が4足歩行には分が悪いのはお察しなので寒さで凍りそうな羽を必死に動かした。
「いや俺が来たときはこんなんじゃなかったし!!豚さんめっちゃ大人しかったよ!?」
『そもそもデビルポークは比較的温厚な魔獣でっ!!繁殖期でもなければそう攻撃的になることはなかったはずなんですけど?!』
「誰か豚に嫌われるフェロモン出しとる奴おるんやないですか!!」
理由なく怒っている訳じゃないのはわかったが群れを守る為なのか捨て身でぶつかってくる豚たちを見てしまっては、逃げる足(正確には羽だが)を止める訳にはいかなかった。
手足が悴む身を切るような寒さの中、どうにか説得をできないか……と頭を回していたそのとき、
(続きます)
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アスルル - はじめまして〜コメント失礼します。凄い…主人公の感じがほんわりしているようで、しっかり自分を持っているのが良いと思いました。がんばってくださいね。 (9月11日 7時) (レス) @page17 id: 6edaad17fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:郷音豆腐。 | 作成日時:2023年1月16日 15時