魔界入りした胡蝶の夢3(魔入間+魔d!) (ページ21)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:4,922 hit

113.コレだよコレページ21

「シャ〜オロ〜ンく〜〜〜んお見舞いに来ましたよ〜〜」

インターホンの音の後、間延びしたゾムの声が長閑な休日の朝に響く。

「どんな感じなんやろなぁアイツの悪周期」
「ええかお前ら……どんなのが出てきてもからかったりするなよ？悪魔によってはあんまり触れられたくないデリケートなとこだったりするからな」

だから今日くらいは優しく接して……というロボロの言葉を遮るようにドアが開く。

「おっ！シャオロ…」
「あ゛？朝っぱらからうっせぇなと思ったら……なんやてめぇらか」

『……っと、危ない』
「……え？」

困惑の声、息を呑む音、空気が凍る中、トントンの手から落っこちたケーキを何とか受け止める。

その雰囲気のギャップに私は"これ今日は追い出されるかな"と考えていたが、意外にも開けられたドアが不機嫌そうにガチャ閉めされることはなく、そのまま部屋にあがることになる。

他のメンツが動揺する中、シアは意外にも平常心であった。その理由は……

「(……あいつホンマにシャオロンか……？)」
「(雰囲気違いすぎるやろ……！)」

そう、わかりやすい雰囲気の違いとわかりやすい魔力の流れの乱れ、よく知る悪魔の悪周期そのものだったからである。人間だと知ってる人物が悪周期になってるとかいう自分の常識が揺らぐような場面よりよっぽど楽で、安心したまであった。

「オラ茶ぁ入れてやったぞ、飲めや愚民ども」
「あ、ありがとシャオちゃ……！？」
「アカン……なんてことするんやシャオロン！！今はまだ午前中なのに……"午後の魔茶"を出してくるなんて……ッ！！」
「あ゛？なにびびってんだてめぇら雑魚か？」

午後のと銘打たれているこの商品を午前に飲む……この悪いことしてる感じがたまらなく震えんだろが……とシャオロンは邪悪な顔で笑う。ガチ犯罪してますよみたいな顔してド健全だったので、こっちがどういう顔して良いかちょっと困る(どんな顔したとて面の下なので結局見えないのだが)

その後もケーキの上のイチゴだけ全部食う、付いたクリームを人の眼鏡で吹くなど絶妙に嫌なラインの悪行が続き怯える面々とは対照的に"これだよこれ、悪周期はこうでなくちゃ！るんるん！"的な気持ちで私は最早菩薩顔をしていたのであった。

とはいえ眼鏡でクリーム吹かれるのは普通に嫌かなぁなんてしょげながらクリームの付いた眼鏡を吹くウツの方に他人事のように目線をやっているとニュ、と伸びてきた手に顔を掴まれる。

(続きます)