・ ページ11
Aside
その後も何事も無かったかのようにきんときは淡々と看病をして私を外へ送り出した。
彼の笑っている顔も、全部嘘みたいだった。
ただ虚空に笑いかけているみたいな何処か不気味な笑みだった。
私は何も言えなかった。
何もしてあげられなかった。
きんときがどうして欲しいのか、なにも汲み取ってあげられなかった。
彼が喜ぶ事、結局何も出来なかった……！
きんときがもし悲しい気持ちも、嬉しい気持ちも全部全部抑えているのであれば＿＿＿＿それは私が崩してあげたい。
この気持ちはただのお節介なのか、それともただただ傲慢なだけか。
いや違う。私は傲慢の悪魔だ。
彼が嫌がるのは私もイヤだけど、それでも彼を喜ばせてあげたい。
何故なら私は傲慢な悪魔だから。
私も一緒に受け止めてあげるよって言ってあげたい＿＿＿。
・
それから次の日。今日は人間界に行く前に少し学校に寄っていく。
無論。きんときに会うのがとても怖いからだ。
もし私の存在を否定されたらどうしよう、もし避けられたらどうしよう、とか。
そんなネガティブな言葉が頭を過ぎっては人間界へ向かう足を震わせる。
もう自信ないよ。嫌われてたら怖いよ。
私どうしたら＿＿＿。
？「あれ？Aじゃん」
私を心配するクソガキボイスが真後ろで聞こえた。
彼は校内のベンチにヘラっていた私の目の前に現れ首を傾げている。
「……きりやん………………」
kr「何で此処におんの。A今日も実技の日じゃなかったっけ」
「……うーん。まぁね」
暫く間があった後、きりやんは「話なら聞きますよ」と私の隣に座った。
「…………私さ。きんときに特別っ言われたんだ」
kr「特別？」
「うん。…………私もよく分かんなくて」
それからきんときの地雷を踏んでしまった事、特別と言われた事、熱を出した後きんときの様子がおかしかった事。全て彼に話した。
驚きつつも真剣に話を聴いてくれた幼馴染には本当に感謝しかない。
kr「まぁ言いたい事は色々あるとはいえ、まず1つね」
「うん」
kr「 “ Aは ” これからどうしたいと思ってる？」
「私がどうしたい…………？」
kr「うん。話は全部聞いたけど、なんかイマイチAがどうしたいとか、何に悩んでるのか良く分からんかったから」
＿＿＿＿私だって、分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさちゃ(プロフ) - mekanさん» コメントありがとうございます！面白いと言って頂けて本当に嬉しいしとても光栄です！！これからも応援よろしくお願いします！！！笑 (3月26日 8時) (
レス) id: 1f3f4e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
mekan - コメント失礼します！！めちゃくちゃ面白いです！！一つ一つの言葉がうまく表現されていて続きが気になりまくりました！！Nakamu さんのお話も頑張ってください！！ (3月20日 19時) (レス) @page20 id: facc464c1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うさちゃ | 作成日時：2023年7月27日 12時
