触れられそうで、けど儚くて【Satoshi】 (ページ29)

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生徒みんながワイワイと楽しそうにしている一大イベント。

ついに運命の文化祭が始まった。

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あ「ふぁ」

昨日から全然眠れなくてクラスで売る分と

そして大野先輩のためのスイーツ作りがあったから

結局起きたのは朝の６時。睡眠時間、数時間。

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赤い紙袋に入った梱包されたスイーツを見つめる。

大野先輩の…ために試行錯誤して頑張って作ったから喜んでくれるといいなぁ。

確か大野先輩カップケーキ好きって、言ってたから。

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アピールしたいわけじゃないけど

ハートのチョコなんかつけ…ちゃったり？

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咲「おっはよぉ～！A」

朝から爆テンション高い人が一名。

あ「おはよう、咲菜ちゃん」

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咲菜ちゃんは私の手にする袋を見つめて、ニヤニヤする。

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咲「本当に作って来たんだぁ。やるぅ」

あ「…うん。喜んで欲しかったから」

大野先輩にとって最後の文化祭だもん。

きっと、私の手作りなんて数ある中の一つになっちゃうかもしれない。…それでも渡したかった。

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咲「喜んでくれるよ！だって、A頑張ったんだから」

私に親指を立てて、そう言うと、笑顔で微笑んだ。

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あ「…うん。咲菜ちゃん、ありがとう」

咲「よーし、今日は先輩達、最後の文化祭だから楽しまなくっちゃね。

とりあえず私達も着替えよう！」

あ「そうだね！」

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『先輩達にとって最後の文化祭』

それはある意味、大野先輩にとって高校生活の最後の思い出になる日。

大野先輩の思い出に残る一日にしたい。

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私がその中の一人になれたら嬉しい…なぁ。

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