Episode100:積怒 ページ13
「……無事でいられないようなことをされたら、逆にあたしがアンタたちを微塵の欠片も残さず消し去ってあげるわよ」
「……静香に何かしたら、私は絶対に許さない」
「そうか、それは怖いな。……もう知っているとは思うが、改めて自己紹介をさせて貰う」
うやうやしい態度で話し始める無神ルキ。嗚呼、恐ろしく油断ならない男だ。
「お前たちのそばにいるのが無神コウ。窓のそばに立っているのが無神ユーマ。俺の向かいでナイフを持っているのが無神アズサ。…そして、俺が無神ルキだ」
「…じゃあ私たちも。 私が佐伯莉緒。こっちが柊静香。よろしく」
「よろしく、なんてするつもり毛頭ないけれど」
さげすむように相手を見る。そんなあたしを見た莉緒は”まあまあ、落ちつこ”とたしなめた。
「…部屋を案内しよう」
階段を上り、広いモノクロ調の廊下に出た。四人しか住んでいないのに、無駄に広い家だこと。…ブーメランね、あたしが言えたことじゃないわ。
「ここと、ここだ」
「…あれれ、私と静香同じ部屋じゃないの?」
驚いた様子で莉緒が問う。
あたしと莉緒の部屋は隣のようだが、隣と、向かいに一部屋ずつ囲まれるような感じになっていた。
「まさか。 お前たちを同じ部屋にするわけがないだろう」
「……まぁそれもそうね」
「佐伯莉緒の隣はアズサの部屋で、向かいはコウだ。柊静香の部屋の隣はユーマで向かいは俺だ」
「…あっそう。…囲まれてるってわけね。変にいろいろ企てないように。…逃げることのないように。」
「理解が早くてとても助かる。ちなみにお前らの部屋のバルコニーと、この部屋の廊下には使い魔が毎日二十四時間体制で見張っている。 客人にこのようなことをするのは忍びないが……、」
”でもそれも仕方ないことだろう?”と含みを持たせ、言い放った。
「無神兄弟にも…使い魔とかっていう奴らにも私たちは見張られてるワケね。 静香はハンターだから…殺されちゃうかもって心配なんでしょ!」
「殺す…? はっ、人間如きにか…笑わせるな」
ふふっと人形のように綺麗な顔で微笑む莉緒とは裏腹に、無神ルキの額には青筋が入った気がした。不快な気分になったのだろう。様を見ろってこういうことよね。
「まあいい。リビングに戻ろう」
踵を返した無神ルキにあたしたちは着いて行った。
**やましぃ**
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