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「……やんなくてもいいよ、そんな余計なこと。」





しめが落とした言葉に、その場の空気が凍り付く。







「は、何言ってんの…?」





聞き返す元太の声は、震えてしまっている。そのせいか、しめの表情に若干の罪悪感がにじむのが分かった。







「………いつ踊れるようになるかわかんないのに、みんなに迷惑かけられないし。」



「そんなの、気にしなくていいよ。」





思わず横から口を挟んだ俺を、しめは険しい顔でにらんできた。





あぁ、やばい。これは本気で怒ってる顔だ。そう悟って自分の言葉を省みようとしたけれど、それより先に閑也が口を開いた。







「でも、ちゃんと薬とか飲んでれば、また踊れるようになるんじゃねえの?」



「……は?何その言い方。」





閑也はきっと、励ますつもりで言ったんだろう。でも言葉が軽く聞こえたのか、あるいは勝手に休薬したことを咎められたように感じたのか、いずれにせよしめの癇に障ったのは間違いなさそうだ。









微妙にかみ合わない会話。思うように届かない意図。





俺たちの間に収拾がつかないほど険悪な空気が漂い始めたとき、レッスン室のドアが開いた。







「そろそろスタジオ移動するぞー。」





マネージャーの声に、みんなほっとしたように頷いている。この後は、メンバー全員で雑誌の撮影だ。この手の仕事は、しめも体調を見ながら参加できることになっている。







「ほら、しめも行こう?」





カメラの前に立って仕事をすれば、しめも気持ちを切り替えられるはず。仕事に対して意識の高いしめだからこそ、俺はほとんど確信のようにそう思っていた。

・→←「間違うしか、方法がないんだよ」



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おさと(プロフ) - 七桃さん» 七桃様、コメントありがとうございます!そう言っていただけて、とっても嬉しいです😭これからもお楽しみいただけるように頑張ります! (6月20日 20時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - 短編集の時からおさとさんの小説読んでて、ほんとに好みすぎます……♡笑 これからも楽しみにしています! (6月18日 23時) (レス) @page7 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - はなさん» はな様、コメントありがとうございます!貴重なご意見もお寄せくださり、ありがとうございました😊亀更新ですが、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!! (6月13日 7時) (レス) id: de6645fa3a (このIDを非表示/違反報告)
はな - こんばんは😊お話楽しみにしてます! (6月11日 22時) (レス) id: 1e8df6407a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おさと | 作成日時:2023年6月11日 21時

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