検索窓
今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:6,684 hit

付属品13 ページ14

中には入ると、映画に出てくるような豪華なベッドに座る姫様と、その横に執事が立っていた。


そのドレスは思わず顔をしかめてしまうほどきらびやかで、眩しい。


私には合わないな、なんて即効諦めモードに入りながら姫様の前でひざまづいた。


『本日、姫様の護衛をさせていただきます。冬間Aと申します。』


「…貴方」


『はい』


「生まれはどこ?」


『生まれですか?』


何で急にこんなことを聞いてくるのだろうか。
ああ、きっとそれで私の格付けをしようとでも思っているのだろう。
貧乏嫌いの姫様ならあり得る。
が、ここで嘘をつくと後々面倒になりそうだ。


『えー…日本です。』


「…まあ、そうでしょうけど」


呆れた、という様子の姫様。
まあ、嫌われるよりはよっぽど仕事がしやすい。


「いいわ、顔をあげなさい。私の側にいることを許可するわ」


『ありがとうございます。』


既に倦怠感に襲われながら姫様の斜めまえ辺りにたった。


これなら顔もその眩しいドレスも見ずに済むし、敵が侵入してきたときに守れる。


「…ねえ、私に何か面白い話をしなさいよ」

 
『面白い話…ですか。
生憎私はつまらない人間ですから、姫様のご期待には添えないと思いますが。』


「いいのよ。こんな無言の空間なんて吐き気がするわ。
いいから話しなさい」


…危うく姫様の前で溜め息が出るところだった。


『じゃあ…とある少女の話でもしますかね。』


その少女には、弟と妹がいた。
弟は何でもこなす天才で、妹は明るく人懐っこくて人に好かれている。
しかし、少女には何も取り柄がなかった。
親は自分でなく妹と弟ばかり可愛がる。
悔しくて、悲しくて少女は家を飛び出した。


「…それで?その少女はどうなったの?」


『…彼女は、実は王室の子だったのですよ。家出をしている際に発見され、その後は姫として幸せに暮らすのです。』


「あら、いい話ね。隠された王室の子。まるで私みたいだわ」


『姫様が?』


驚いて姫様の方を見ると、ドレスに透けた肩で鴉が動いた。


「私は貧しい母と父の間の隠し子。幼い頃は母と共に暮らしていたの。その後、王室の跡継ぎが亡くなって、私が選ばれて。でも、隠し子の私なんて周りが認める筈なかったのよ」
 

…それで、命を狙われているのか。
何だか…思ったよりも繊細でか弱い方なのかもしれない。


「…姫様、少し」


ドアから顔を覗かせた方に姫様は連れて行かれ、部屋には沈黙が流れた。

付属品14→←付属品12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
設定タグ:まろん , 銀魂
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まろん | 作者ホームページ:p://  
作成日時:2017年1月5日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。