付属品12 ページ13
『ここが姫様のお宅ってところですか。』
江戸城より大きいんじゃないかと思うほどの豪邸を前に自然と溜め息がでる。
道中に姫様のことはいくつか聞いたが…
我が儘で、貧しい者のことを見下すようなご立派な姫様らしい。
本当に私なんかに務まるのだろうか。
万が一に、いや億が一に護衛はできたとしても、姫様と話すだけで生気が失われそうだ。
『…土方さん』
門に構える兵を横目に話しかける。
「何だ?」
『思っていたよりもかなり大変そうなのですが。
あと、姫様は貧乏臭いものと煙草は苦手だそうなので控えてください。』
「お前の言いたいことは分かる。俺も姫様にゃ軽く呆れてるよ。
それと煙草はやめとく」
首を掻きながら口に咥えた煙草を渋々箱にしまった。
ヘビースモーカーか。
そんな話をしているうちにどうやら姫様の部屋についたようで、きらびやかな扉を気だるげに見上げた。
「…まあ、頑張れよ」
『…はあ』
背中をぽん、と押され促されるままに戸を叩いた。
『姫様、失礼します。護衛の者です。』
「いいわ。入りなさい」
上から目線…と感じつつ、世間を知らないような鳥籠の御嬢様であるから仕方ないのかな、と諦め
本日何度目かの溜め息をついて扉を開けた。
22人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ