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第十五章 ページ16

『…ねぇ、どうしたらいいのかなぁ。』

私は偶然見つけた野良猫のいる路地裏で、猫に問いかける。

『バイトの子にね、好きならアプローチすべきだって言われたの。

挑発に乗せられちゃって、書いたのはいいんだけど。

本人目の前にしたら、急に恥ずかしくなっちゃってね。


…逃げて、来たんだ。』

黒猫の頭をなでてやると、嬉しそうに目を細める。

『弱いよね。

怖かったのもあるんだけど。

なんでこんなの書いたんだって。

…名前聞けて、呼び捨てでいいって言われて、仲良くしゃべれるようになって。

しかも、おしゃれしてきてくれるんだもん。

それで満足すべきなのにね。

追及してくる彼置いて、他の仕事場の子にも連絡もなし。

今更帰る勇気もないの。



…ほんっと、馬鹿だよね、私…っ。』





一「…あんたが馬鹿なら、俺も同類なんだけど。」


聞こえた低い声。

その声は、私の後方から聞こえた。


『い、一松…。』

一「…何、仕事放棄して、こんなとこまで逃げてんの…。」

ぜいぜいと荒く息を吐きながら、私の隣にしゃがむ。

『どうして私を追いかけて…。』

一「…あのさぁ。」


とんっ、と私の真上の壁に置かれた彼の右手。



一「…心臓に悪いこと、止めてくんない?」

『…はい?』

一「あんたに会ってから…、って昨日だけど。

おかしいんだよ、あんたのせいで。

心臓五月蠅いし、あんたのこと目で追うし、どう対応していいか分からなくなるし。


…何、ハートマークとか書いてくれてんの。


あんたのこと、諦められなくなるだろ…っ!」

『…え?』


――諦められなくなる、って。




一「…好きなんだ、あんたのこと。」

『…あ。』

待ち望んでいた言葉。

ぼろぼろとこらえていたはずの涙が溢れてくる。


一「…嫌だったら、叩いて。」

顔を私に寄せてくる。

形のいい唇が私の口元に降りてくる。


私はゆっくりと目を閉じて、



…次の瞬間、重なった。

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黒兎(プロフ) - 夏宮星歌さん» 私もグラデ推しですかね……。あの色気がたまりませんっ (2017年4月15日 21時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
夏宮星歌 - ぽわんぽわんさん共感ありがとうございます! (2017年3月18日 23時) (レス) id: c7b934967b (このIDを非表示/違反報告)
夏宮星歌 - 黒兎さんの推しは誰ですか?私は全松好きですが特にグラデ松です! (2017年3月18日 23時) (レス) id: c7b934967b (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - ぽわんぽわんさん» ありがとうございます!次回作でもイケメンになるように頑張ります!(●´ω`●) (2017年3月5日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎(プロフ) - 夏宮星歌さん» いっ、イケメンになってましたか!私の一松くんフィルターはそんな感じにかかってるので……。妄想ぶち込んだ甲斐がありましたww (2017年3月5日 16時) (レス) id: 2172f3f018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒兎 x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/  
作成日時:2016年12月20日 21時

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