幸せを君に２

不思議ってどういうこと？＊北山Side ページ10

同じベッドで寝ることになるなんて思ってもみなかった。
意外とAちゃんは頑固なところがあるらしく、俺がソファーで寝ることを良しとしなかった。
結果、同じベッドに入ることになって、俺としては嬉しいんだけど…

男に酷い目にあわされたAちゃんは大丈夫なのかな…？
俺と一緒とか、眠れないんじゃないかな…？


そう思うと心配で眠るどころではなくなってきた。
でも俺が寝ないときっとAちゃんも眠れないだろうと思って、俺は寝たふりをすることにした。




「え…かわいい…」

とAちゃんがつぶやく声が聞こえた。
何が？とか聞きたかったけど、俺は今寝てることになっているから聞けない。

それからしばらくすると、Aちゃんが起き上がってベッドに座った。
やっぱり俺の隣じゃ眠れないのかな…？

俺は寝たふりをしていたことがばれないように寝起きを装いつつ声をかけてみた。


Ki「眠れない？」

俺を起こしてしまったと焦る様子のAちゃんが可愛くて、気付けばAちゃんを抱きしめていた。

すっぽりと俺の腕におさまるAちゃん。

「北山さん…？」


控えめに俺を呼ぶ声には返事をせず、また寝たふりをすることにした。
また俺を起こしてもいけないと思ったのか、俺に抱きしめられたままのAちゃん。
呼吸が寝息に近くなってきたなーなんて思っていると寝言かなと思うくらいの小さな声が聞こえてきた。


「北山さんって不思議…」


その言葉を最後にAちゃんは眠りにつけたみたいで規則的な寝息が聞こえる。

不思議ってなんだろ？
俺が不思議なの？
どういうことなんだろう？


いくら考えてもきっとこの答えは本人にしかわからないことだなと思い、俺も寝ることにした。
俺の腕の中で眠るAちゃん。
安心してくれたんだなと思うと信頼されているようで嬉しくなる。

幸せな夢が見られそうだ。

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