幸せを君に２

暖かい ページ5

久しぶりにゆっくりとお風呂に入る。


入りやすい暖かさの湯船に浸かってホッと息を吐く。

足に巻いてもらった包帯もこのお風呂も、北山さんの優しさは本当に心を暖かくしてくれる。
北山さんならきっと助けてくれるって思ってここまで走って本当に良かった。

私は本当に北山さんに助けてもらってばかり。

私は北山さんのために何かできるだろうか…

そんなことを考えながらお風呂を出る。
北山さんが準備してくれた服を着る前に鏡に映る自分を見るとこの数日で増えた消えない傷。

自分がより汚いものになったみたいで思わず目を背けた。





北山さんに借りた服は少し大きめだけど、北山さんの香りがして、なんだか安心する。

リビングに戻ると北山さんがソファーで寝かけていた。


「北山さん…？」


Ki「ん…あ、やべ…寝るとこだったわ…」


「お風呂ありがとうございます。」


Ki「あったまった？」


「はい、とても。」


Ki「良かった。俺も風呂行ってくる。」


そう言って一度お風呂場の方へ行った北山さんはドライヤーを持って戻って来た。

Ki「俺の風呂の前にAちゃん髪乾かさないとと思って。」


はいここ座って、と言われて北山さんの前に座るように言われ、私はそれに従う。
すると北山さんが優しく私の髪を乾かし始めた。

「あの…北山さん、自分でやります…」


Ki「えー？聞こえないなー？」


明らかに笑いを含んだ声でそう言い、私の髪を乾かし続ける。
その北山さんの手が優しすぎて、気持ちよくて、眠気に誘われる。


Ki「はい、乾いたよ。じゃ、風呂行ってくるからゆっくりしてて。」


そう言って今度こそお風呂に行った北山さんを見送る。


もう何度も思ってきたことだけど、何でこんなに安心するんだろう？
北山さんは男の人なのに全然怖くない。
すごく優しくてお兄ちゃんがいたらこんな感じなのかな、なんて思う。

お風呂上り→←こんな時なのに＊北山Side

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