幸せを君に２

電話 ページ18

北山さんが仕事に出かけている間、私は昨日のうちに許可をもらった掃除や洗濯をした。
それでも時間は余ってしまい、今はソファーに座って携帯を見つめている。


新しい携帯。
そこには北山さんの連絡先だけが登録されている。

私はいつまで北山さんに迷惑をかけるのだろうか…


そんなことを考えて自分の隣に携帯を置いた瞬間、その携帯が鳴った。


知らない番号。


龍のはずはないとはわかっているけど、怖くて出ることが出来なかった。


鳴り止んだと思ったら、北山さんからの着信。



「もしもし…」


Ki「あ、Aちゃん？今知らない番号から電話あったでしょ？」


「はい、ありました。」


Ki「それ、玉の番号。教えろってうるさいから教えたら俺がAちゃんにそのこと伝える前に電話したみたいで、怖がらせちゃったかもと思って…」


「あ…そうだったんですね。ちょっと怖かったですけど、大丈夫です。ちゃんと玉森さんって登録しておきますね。」


Ki「ごめんね。そうしてやって。なんかAちゃんに相談したいことがあるらしいからさ。」


「わかりました。」


Ki「あ、それと、もうすぐ仕事終わるから、予定通り１７時には家帰れると思う。」


「はい。」


Ki「何かいるものあるかとか考えといてね！」


「わかりました。」


じゃあね、と電話が切れる。
私は早速玉森さんの番号を連絡帳に登録した。
電話越しに聞く北山さんの声はいつもよりももっともっと優しくて、甘かった。

男の人が苦手な私のことをとても気にかけてくれているというのは一緒に過ごしていれば十分すぎるほど伝わってくる。
北山さんは本当に優しい人なんだなっていつもいつも思う。


そして洗濯物を畳んで、またソファーでぼーっとしていた。

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