幸せを君に

救ってあげてほしい＊楓Side ページ28

ってそんな私のことは良い。

裕太がAのことを好きになったんじゃないってことだけは安心した。


それに藤ヶ谷さんは優しそうだし、テレビで見てても紳士的そうだし、裕太もガヤは本当に頼りになるっていつも言ってるからAのことが気になってるなら頑張ってって思った。



だからまさか、私の知らないところで北山さんがAと会ってたなんて。

しかもAは北山さんのことは怖くないみたいだし、話も出来るみたい。


私としては、裕太のグループのメンバーに悪い人はいないって思ってるし、正直藤ヶ谷さんの方が、とか北山さんの方がっていうのはない。


とにかく、Aを過去から救いだしてあげてほしいってことだけ。


簡単なことじゃないと思う。
Aのトラウマはそんなに簡単には消えないだろうっていうのは私でもわかる。
それほどAが負った傷は深いはず。



Aのためなら、私に出来ることは何でもやるって思ってるけど、でも多分、本当にAを過去から救い出して、Aのトラウマを払拭することが出来るのは新しい恋なんじゃないかなって思ってる。


男のせいで出来た傷だし、そんなひどい男ばかりじゃないってことを証明してくれる男と出会うことが一番かなって。


一日でも早く、Aが幸せになれる日が来ればいい。
私が願っているのはそれだけ。




今晩北山さんとご飯に行くことになったA。
仕事中はいつもと変わらない様子だったのに、作業着から着替えてる今、明らかに様子がおかしい。
そわそわしてるっていうか…


楓「今日何時からごはん行くの？」


「ここの前まで迎えに来てくれるって…北山さんが。」


楓「そうなんだ？じゃあそろそろ来てるかな？」


そう言うとAは作業着を専用のカゴに入れ、カバンの中身の確認をしている。

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