幸せを君に

可愛い妹のよう＊楓Side ページ27

Aは可愛い。
女の私から見ても守ってあげたくなるような女の子。

Aがこの動物園に来てからもう四年。

当時はずっと俯いてて、声も小さいし、いつも何かに怯えてるようだった。
幸い、ここの園長は優しい人で、男性が怖いというAを私と同じコーナーにした。
それから毎日一緒に仕事をしていく中で、だんだん会話が多くなり、一緒にご飯を食べに行くようにもなった。


三ヵ月くらい経った時にAが過去の話をしてくれた。
壮絶すぎるその内容に言葉が出なかった。


それからは絶対私が守ってあげなきゃ、と思うようになり、過剰かもしれないと思うレベルで世話を焼いた。

一年くらい経って、笑顔とまではいかないけど、やっと柔らかい表情が見れたときは本当に嬉しかった。


そのAが今、少し変わり始めてる気がする。
この前、仕事でキスマイに出会ってから。


昨日、裕太とご飯に行くことになり、Aに会ってみたいという裕太のリクエストでAも誘った。
裕太は男だし、どうかなとは思ったけど、Aは来てくれた。

その場に藤ヶ谷さんも来ていて、私が見た感じだと、きっと藤ヶ谷さんはAのことが気になってるんだろうと思う。
会ってみたいって言ってた裕太は相変わらずのゆるさで、何で会いたいって言ったんだろうって考えてみたけどわからなかった。

でも昨日解散してから裕太から電話が来た。


ｔ「Aちゃんっていい子そうだよね、楓がいつもお姉ちゃんみたいに可愛がってるのわかる気がする。俺もお兄ちゃんしたくなったわー。」


そして裕太はこうも言った。


ｔ「何か困ったことがあったらすぐ言ってよね、楓のことでも、Aちゃんのことでも。俺がスーパーお兄ちゃんになって助けてあげるから。」


その言葉にドキドキしたことを悟られないようにわかったとだけ返事をした。

そう、私はずっと前から裕太が好きだ。
裕太はそんな気全くなさそうだし、私が素直じゃないから私の気持ちにも気づいてないと思うけど。

救ってあげてほしい＊楓Side→←急なお誘い

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