幸せを君に

気になる＊藤ヶ谷Side ページ22

北山との話を終え、俺は自販機でコーヒーを買おうと楽屋を出た。


北山から聞かされた美鈴さんからの伝言。
失礼な態度ってきっと逃げちゃったことだよな。
男と話すのが苦手だってことも北山から聞いて納得した。

でも北山の話を聞いてると引っかかる。

男と話すのは苦手なのに、北山とは話せたってことだよな？
しかも、北山はもう美鈴さんを名前で呼んでた。
もやもやする。


仕事で初めて美鈴さんを見たとき、なんだか儚い雰囲気の子だなって気になった。
話しかけてみたけど、あまり会話も弾まなかった。
あの時もきっといっぱいいっぱいだったんだろうな。


次の日に本屋で見かけた。
高いところの本を頑張って取ろうとしている姿がなんかすっごく可愛くて、ほっとけなかった。
最近読書にはまっている俺は彼女が抱えていたたくさんの本を見て、話してみたいな、おすすめとか聞いてみたいなって思ったけど、その話になる前に逃げられちゃったからそれも叶わなかった。


もう一度会いたいな…

会って、おそらく気にしてくれていた態度のこと、全然気にしなくていいよって言いたい。


楽屋に戻るとみんな揃っていて、いつものように仕事が始まる。
いつもより北山のテンションが高い。

ほんとわかりやすい奴だと思う。
きっと北山は美鈴さんのことを気に入っている。
いや、むしろ気に入っているとかいうレベルではなくて、好きなんじゃないか？
だったらライバルだな。

そこまで考えてハッとする。


ライバルってなんだ？
まるで俺も美鈴さんのこと好きみたい…


そっか、気になるなって思ってたけど、これってもしかして…

一目惚れ？


自覚するとなんだか一気にすっきりした。

そっか、俺、美鈴さんのこと好きなんだな。



もう一度会いたいな。




そう思っていると仕事終わりにご飯に行こうと玉に誘われた。
幼馴染みと飲むからって。


幼馴染み！？
それって美鈴さんと同じ動物園にいた人だよな？
もしかしたら何か話が聞けるかも。

そう思って俺は即効OKした。

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