幸せを君に

どうしてだろう ページ20

北山さんが帰って行ってから、私は片づけをしながら考えていた。
藤ヶ谷さんも怖い人には思えない、むしろ優しく声をかけてくれた。
なのにちゃんと対応できない。
でも北山さんとは話せる。
怖いと感じることもない。

どうしてだろう…

どうして北山さんだけ…

今までこんなことなかった。
今の私の家に男の人が来ることも、携帯に男の人の連絡先が追加されることも。



北山北山です。今日はありがとう。
北山もし良かったら、また一緒にご飯食べたい。


北山さんの連絡先が追加された携帯をぼーっと眺めてたらそんなLINEが来た。


Aこちらこそ、ありがとうございました。


それだけを返信してお風呂に入り、まだいつもより少し早いけどベッドに入ることにした。

寝ようとしても、今日の藤ヶ谷さんへの失礼な態度と北山さんとの食事のことが頭の中をぐるぐるしていてなかなか眠れない。

こんなことなら買ってきた本を読めばよかったと思ったけど、どっちにしろ頭の中をぐるぐるしていることが邪魔して集中できないだろうなって思ってベッドを出るのをやめる。

私は無理やり違うことを考えようと明日の休みは何をしようかと考えていた。



その時、携帯のバイブが鳴り、通知が表示される。


「楓先輩…？」


楓先輩明日の夜って何してる?


A特に予定はないです。


楓先輩明日、裕太と飲みに行こうって言ってて、良かったらAも来ない?この前仕事で見たとは思うけど、ちゃんと紹介出来てなかったから。


楓先輩それに裕太もAに会いたいって言ってて…もちろん無理にとは言わないから、嫌だったら断ってね!!


A先輩の幼馴染さんの玉森さんでしたよね?うまく話せないかもしれませんが、それでも良ければご一緒させてください。


楓先輩大丈夫!!ありがとう!!時間と場所はまた明日連絡するね!!おやすみ!


Aわかりました。おやすみなさい。



明日の予定が決まった。
ゆっくり目に起きて、夕方くらいまでは昨日買った本を読もう。
夜は楓先輩と先輩の幼馴染の玉森さんと三人で食事。
また失礼な態度になってしまったらどうしようって不安はあるけど、楓先輩がいてくれるからきっと大丈夫だよね…

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