疑い ページ11
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俺が見たのはバラバラにされた鬼が二体と胸を貫かれた鬼…そして、一人の娘だった。
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「Aを継子にする」
ここは、Aがいる部屋とはまた違う一室。
雛鶴、まきを、須磨は、お茶を啜りながら旦那である宇髄天元の話に耳を傾けていた。
……のはいいが、
「あの子Aちゃんって言うんですね〜」
「可愛い名前です♡」と興奮する須磨に、隣に座っていたまきをが彼女の頭上に拳を振り下ろす。
「須磨!天元様が話してる途中でしょうがぁ!!」
「まきをさんがまたぶったぁぁあ!!!!」
「ちょっとあなた達!やめなさい!!」
ギャーギャーと部屋にまきをと須磨の声が轟く。
すかさず雛鶴が二人の間に割って入るが中々おさまらない。
毎度の光景に宇髄は苦笑するが、今はこうして嫁三人のイチャイチャ(?)を黙って見ている時ではない。コホンッと一回咳払いをすると、騒いでいた空間はシーンと静まり返り、彼女たちは元いた場所へ座り直す。
「鬼殺隊はただでさえ人が少ないからな。俺自らあいつに稽古つけて隊士にしてやろうと思う」
宇髄は一度話終えると、卓上に置かれた湯呑みを手に持ちお茶を啜る。美味い、ほのかな香りと苦味が合わさり良い味を出している。
すると、お茶を嗜む宇髄の横に座る雛鶴が口を開いた。
「珍しいですね天元様」
「?」
「Aちゃんの事で何か気になることでもありましたか?」
雛鶴を見つめる須磨とまきを、そして宇髄。
無造作に髪をかきあげた彼は、想い溜息を吐いた。そして、手に持つ湯呑み茶碗をゆっくりと卓上へ置く。
「Aに初めて会った日、あいつの側にバラバラにされた二体の鬼と、胸を貫かれた鬼が一体いた」
宇髄は話を続ける。
「あいつが言うには、仲間割れした鬼が互いを攻撃し合ったのが原因と聞いたが、不審な事があってな」
「というと?」
「鬼に血鬼術を扱うような奴はいなかった。なら、バラバラにされた鬼は互いの肉体を傷付け、四肢を喰い千切る。そうしたら、肉体断面は必然的に粗くなる筈だ…だが、傷の断面は何か、鋭利な物で切断したかのように綺麗な断面だった」
そう話す宇髄は、再び湯呑みに手をつけた。
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アゲハ(プロフ) - あくわいさん» 私の誤字でした。ご指摘感謝します。 (2022年1月9日 20時) (レス) id: 6f074cf7a7 (このIDを非表示/違反報告)
あくわい - あの………凄く言いにくいんですけど………多分「ツテ」じゃなくて「ツケ」だと思うので………一応調べてみてください……… (2022年1月9日 18時) (レス) id: d8c2d43c86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アゲハ | 作成日時:2022年1月3日 12時