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そんな出来事があって約一ヶ月。今私の隣に座るのは、修学旅行の夜に好きな人がいると告白したあかね。すまないが先に言わせてほしい。

「私恋愛したことないんだけど…?」
「ほんっとにゴメン!でもAにしか相談出来ないぃ」

 相談を受けるのはいいんだ。微力だけど力になれるなら。でも、内容によって変わってくる。
一番苦手な相談が恋愛相談だった。一度も恋人を作ったことがないのに、高確率で相談される。皮肉か。私が恋人が作れない事への皮肉なのか。

「どう告白したらいいのかわからなくて…」
「私より適任の相談相手がいるんじゃないですかね…」
「他の子に相談したら言いふらされるの!Aなら秘密守ってくれるから、いっかなーって」

 私の周りに口が軽い人達が多い事も、恋愛相談をされるポイントになっているんじゃないかとか思う。

「うわぁ……。まぁ、無難にアプローチすればいいんじゃない?無理に着飾らないで、自分を見せる。…とか」
「なるほど…アドバイスありがと、勇気出てきた!」
「そっか」

 もう一度感謝をされて、笑顔で去って行く。椅子の背もたれに体を預け、一つため息。
 やっぱり、彼女の好きという思いが理解できない。いや理解できないというか、自分で実感した事がない。と言っても、“好き”には色々タイプがある。家族愛だったり、友情愛だったり、さっきの恋愛だったり。
 私はたまたま、恋愛としての好きがわからないだけ。多分。
 ラブストーリーとか青春系のドラマや読み物に疎いのはきっとそのせいだ。胸きゅんなんてした事ない。カッコつけとかじゃなくて、本当に。
 ゲームとか、アニメのキャラクターが好きになる事は当然あるが、人を恋愛的に好きになる部分がぽっかりと抜けているのだ。人生損してると言われそう。
 そんな私に恋愛相談を持ちかけるなんて。ただ話を聞いて欲しかっただけなのか。そう思いたい。

 チャイムがなる。時計を見たら、下校時刻を指していた。

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作者名:さくら大福 | 作成日時:2020年2月15日 2時

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