問題児2人と保護者1人。ただし最強。

僕の慕情 ページ33

　
　
　
灰原side


Aさんのことは夏油さんと同じくらい尊敬している


こっちが口に出さなくても分かってくれるのがすごい


初対面で心を読まれたときは本当に驚いた


『国重Aです。よろしくね』

「くにしげさん…」


なんか言いにくいな


そう思っても七海は普通に呼んでるし、失礼かなと思ってそのまま呼んだ


『……好きなように呼んでくれていいからね。呼びにくいでしょ』

「えっ？あ、じゃあAさん！」


ふわりと微笑んだ顔は太陽……じゃないな、う〜ん………


お日様！


物としては同じだけど柔らかい光って感じなんだよね


いつも周りに気を配っていて、弱音なんて絶対吐かないAさんだけど


一度だけ、本音を聞いたことがある


『…灰原くんは、妹さんがいるんだっけ』

「はい！僕は非術師の家系ですけど、妹も呪霊が視えるんです。でも、絶対にここには来ないように言いつけてます」

『…それはどうして？』

「僕が全部祓うから。だから妹までこんな思いしなくていいんです」

『灰原くんは……この世界が嫌い？』

「？いいえ、そんなことないですよ！七海も先輩方もとても強くて頼りになりますし！」

『……そう』


Aさんの顔に暗い影がさした気がして、何か気に障ることを言ってしまったかと焦った


『…ふふ。君は悪くないよ』

「えっ」

『…僕にも弟がいてね。僕は呪術師の家系なんだけど、弟は呪霊が視えない。呪力もない。それに、僕のせいで……家族が離れ離れになってしまって。弟が今どこで何をしているのか分からない。全て僕が引き起こしたことで、僕がいなければな……なんて』


まるで冗談かのように笑ってみせるAさん


でも、全然いつもの笑顔とは違くて、瞳に光が籠もってなくて


思わずﾋｭｯと喉が鳴った


「そ、そんなこと言わないでください！Aさんがいなくなったら、皆悲しみます！」

『……皆って？』

「皆です…！僕も七海も、五条さんも夏油さんも！皆Aさんには感謝してます！Aさんに救われた命だってたくさんあるんですよ！」

『救われた、命……』


僕の言葉を繰り返したAさんは少し俯いて、またすぐ顔を上げた


その瞳には、いつもと変わらない柔らかな光が宿っていた


『…ありがとう、灰原くん』


あぁ、やっぱりAさんには笑っていてほしい


この話もきっと僕に妹がいるからしてくれたんだろう


そう思うと何故か嬉しかった
　
　

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