問題児2人と保護者1人。ただし最強。

拾肆話 ページ21

　
　
　
3日間はあっという間だった


全然任務が回ってこないことに疑問を感じて夜蛾先生に連絡を取ったところ、


「子育てに専念しろ」


という言葉とともに電話を切られた


万里さんは夜蛾先生にどんな説明をしたんだ……


そのことでひと悶着あったけど、それも澪ちゃんの鶴の一声で収まった


「ケンカしちゃダメ！ケンカするひとはわるいひとになるっておかあさんいってた！」


…だって


妹さん結構言うなって僕は思ったけど、多分万里さんも同じこと考えたんじゃないかな


僕より先に謝ってきたからね(笑)


「おにいちゃん！おりがみしよ！」


縁側に腰掛けていた僕に鈴の音のような声がかかる


『折り紙？』

「うん！みお、おにいちゃんにゆびわつくってあげる！」

『指輪か…じゃあ僕は澪ちゃんに王冠作ってあげようかな』

「ほんと⁉」

『ふふ、どっちが先に作れるかな〜』


万里さんが買ってきていた50色の折り紙から、澪ちゃんはピンクや水色といった鮮やかな色を選んでいく


一方の僕は、こういうのを見ると一番使われていない色を選んでしまいたくなる


すなわち茶色


でも女の子に茶色は酷だよね


ずるいかもしれないけど裏返して使わせてもらうよ


2人して黙々と折り紙を折っていく


「おにいちゃん、て、かして」

『お、もうできたの？』


なんの気なしに僕は左手を出した


「んーと……かんせい！」

『っ………』


僕の左手薬指につけられた指輪


ハートがついていて可愛らしい


…違う違うそうじゃなくて


『澪ちゃん……わかってるのかな…』

「？なにを？」

『ここの指はね？好きな人と大切な約束をするときに着けてあげるの。だから、』

「おにいちゃんは、みおのこときらい…？」


な、泣いて、る⁉


『き、嫌いじゃない嫌いじゃない！澪ちゃんのことは好きだよ』

「ほんと？」

『うん、ほんと。だから泣かないで？ね？』

「うん！」


九死に一生を得たな…


最終日の思い出が泣かせたっていうのじゃなんとも心地が悪い


でもなぁ……


「おにいちゃんまだ？」

『え？あ、そうだ、そうだったね。はい、澪ちゃん、頭出して』

「ん！」

『……うん、似合ってる。かわいいね』

「えへへ」

『澪ちゃん、もう一枚だけ、写真撮らせてくれる？』

「いいよ！」


澪ちゃんを膝の上に乗せて、お腹に手を回して存在を確かめるように抱きしめながら


僕はシャッターボタンを押した
　

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